研究課題/領域番号 |
25463336
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
實金 栄 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50468295)
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研究分担者 |
中嶋 和夫 吉備国際大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30265102) [辞退]
山口 三重子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (90279018)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハラスメント加害行為 / 精神健康 / ストレス認知 / 構造方程式モデリング |
研究実績の概要 |
本研究は看護職者を対象に,これまでほとんど実証的に検討されてこなかったハラスメント問題を取り上げ,看護職者の職員間のハラスメント予防策に関する指針を得ることをねらいとして,ハラスメント加害に関する発生プロセスの解明を研究課題とした.著者らは,ラザルスのストレス認知理論を援用し,職場や職務に起因するストレスを軽減するためのコーピングとしてハラスメント加害行為を位置づけ,職場・職務に関するストレス認知が精神健康に直接的に影響すると同時に,ハラスメント加害行為が媒介的に精神的健康に影響を及ぼすとする因果関係モデルを仮定した.前記の因果関係モデルのデータへの適合性は構造方程式モデリングで検討した.因果関係モデルのデータへの適合性は適合度指標CFIとRMSEAにより判断した. 実証的検討のための調査データは,全国の病院名簿に記載された医療施設から無作為抽出し,研究への同意が得られた,25施設に勤務する看護職者2837人から得るものとした.調査票の回収は1205人から得られたが,分析項目に欠損のない,1077人を集計対象とした.統計解析の結果,適合度指標は統計学的許容水準を満たしており、因果関係モデルはデータに適合することが明らかになった.具体的には職場・職務に関するストレス認知は,精神健康を低下させていたが,同時に,職場・職務に関するストレス認知はハラスメント加害行為に発現に寄与し,かつ,ハラスメント加害行為を行っているものほど精神健康も低い状況になることが実証できた. 以上のことから,ハラスメント加害を予防するためには、職場や職務に関連したストレスの軽減を行うと同時により適切なコーピング方略を習得すべく,教育,研修が必要であることが示唆された.
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