災害時における黒タグ者に対する活動モデルの開発

2014 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 25463343
• 研究機関: 大分県立看護科学大学
• 研究代表者: 石田 佳代子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (90341239)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 看護学 / 医療・福祉 / 自然災害

研究実績の概要

本研究の目的は、国内における災害現場でのトリアージによって、黒のトリアージ・タグを付された傷病者(以下、黒タグ者)に看護師が対応するためのシミュレーション・ツールを作成し、病院の災害訓練での試行を通して、災害時に実用可能な黒タグ者に対する活動モデルを開発することである。
本年度は、黒タグ者へ対応した経験を有する看護師1名と医師2名へのインタビューを基にして、災害時に看護師が黒タグ者へ対応する際の基礎的な活動内容の明確化とフローの作成を目的とした調査を行った。当該結果の概要は以下のとおりである。
災害時に黒タグ者へ対応する際の基礎的な活動内容は、＜状況に応じた体制づくり＞＜役割分担＞＜報告、連絡、相談＞＜遺体への対応＞＜遺族への対応＞＜記録、管理＞、の6つに整理された。作成したフローを以下に示す。1)黒であることの再確認、2)行いうる医療行為の実施: 心肺蘇生など、3)看取り、死亡確認の立ち合い、4)身元確認、5)遺体の整容、6)安置場所への搬送、7)情報の整理、記録、8)環境整備、9)本部への報告、10)施設内の他部門との連携、11)施設外の他機関との連携、12)遺族支援、13)業務の調整、14)資器材の準備、補充。課題としては、訓練や準備、メンタルヘルスに関する課題、黒エリアへ看護師を配置する意義、黒判定と蘇生処置の問題、の4つに集約された。
以上より、具体的な活動内容を試行できる訓練の必要性が示唆された。災害の規模などによって黒エリアでの活動内容や構成員は変化するので、シミュレーション作成にあたっては状況設定を考慮する必要がある。また、黒タグ者や遺族への対応に係るストレス対策として、メンタルヘルス研修のあり方を検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度の面接調査の開始時期が遅れたことが影響して、全体的にやや遅れている。面接調査は平成26年4月下旬～9月下旬に実施し、終了した。その後、平成27年3月上旬より、病院の災害訓練等における試行を通してシミュレーション・ツールを作成するための研究に対する協力依頼を行った。その結果、すでに承諾書をいただいた病院もあるが、いくつかの病院は返事待ちの状況である。返事待ちの主な理由は、該当施設の災害訓練の時期が未定であることである。

今後の研究の推進方策

今後は、病院の災害訓練等における試行を通してシミュレーション・ツールを作成し、実用可能な活動モデルを開発する。試行時期は、協力施設における災害訓練の実施時期に合わせて決定する。

次年度使用額が生じた理由

調査に係る旅費等が、先方からの返事待ちのために、平成27年度に先送りとなったため。

次年度使用額の使用計画

平成26年度分の未使用額は325,314円である。これらの残額については、現時点での予定として、学会発表のための旅費(大分～広島　3泊4日)として60,000円(概算)、調査旅費(大分～仙台　2泊3日)として90,000円(概算)、同様に調査旅費(大分～神戸　1泊2日×2回)として80,000円(概算)、専門的知識を受けるための旅費(大分～広島)として30,000円(概算)の使用を予定している。
残額の60,000円については、対象施設が増えた場合の旅費として確保しておくが、その使途の予定がなくなり次第、当初の計画通り記録用ビデオを購入。

研究成果

• [学会発表] 医療職者を対象とした災害訓練の効果の計測方法に関する文献調査 (2014)
  • 著者名/発表者名: 石田佳代子
  • 学会等名: 日本看護研究学会第40回学術集会
  • 発表場所: 奈良県文化会館(奈良県)
  • 年月日: 2014-08-24 – 2014-08-24