研究課題/領域番号 |
25463344
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
伊東 朋子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30305841)
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研究分担者 |
松成 裕子 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00305848)
秦 さと子 (小野さと子) 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (10443897)
折山 早苗 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (20457203)
品川 佳満 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30347702)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 睡眠 / BISモニタ / 自律神経活動指標 / 概日リズム / 人工呼吸器 |
研究実績の概要 |
終日、床上で過ごすことを強いられているALS患者にとって睡眠障害は切実な問題である。脳波の代替として、睡眠の簡便な評価方法が切望されており、本研究ではALS患者の睡眠評価に催眠レベル測定機器(Bispectral index:BIS以下BISと略す)を用いて、睡眠の客観的評価方法の確立を目指した。 測定指標としてのBISの有用性を補完する目的で自律神経活動指標として心拍変動を用いた。本研究に先立ち、夜間睡眠観察の妥当性を若年健常者で行ったが、さらにこの結果を基にALS好発年齢と同世代の60歳代の健常者を対象に夜間睡眠中のBIS値変動と心拍変動との関連を確認した。その結果、BIS値により徐波睡眠期とみなされた期間において、脈拍値の下降安定現象の確認とR-R間隔周波数解析によりRem睡眠期およびnon-Rem睡眠期に対応した自律神経活動等を確認できた。 さらに、ALS患者への適応においては、疾患の進行度は個人差も大きく、また人工呼吸器装着の有無や罹病期間等、患者を取り巻く状況は複雑であり、疾患進行度の相違が夜間睡眠中のBIS値変動に及ぼす影響を確認する必要もあった。そこで異なる疾患進行度のALS患者の夜間睡眠中のBIS値変動を比較した。その結果、ALS患者の疾患進行度の相違に応じたBIS値の相違が見られたこと、体位変換や喀痰吸引等が行われる度に睡眠中断が観察され、BIS値によるALS患者の睡眠段階の評価が可能であると考えられ、夜間睡眠観察指標としてのBIS値の有用性が認められた。 以上から、BIS値は睡眠深度評価指標として有効で、その利用範囲は健常者のみならず、ALS患者においても可能であると考えられた。また、特に疾患が進行し、無言、無動の状態となり、重度のコミュニケーション障害に陥った場合などにも必要な支援を実施するための睡眠状態の把握にBISの有用性が高いと考えられた。
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