研究課題/領域番号 |
25463350
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
高橋 ゆかり 上武大学, 看護学部, 教授 (40341812)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 批判的思考 / ストレス / セルフマネジメント / リフレクション / ライフスキル |
研究概要 |
看護職者のメンタルヘルスセルフマネジメントについて、ライフスキルに着目した調査研究を実施してきた結果、ストレス対処能力として注目されているSense of Coherence(以下SOC)が高い者は、ストレス場面において批判的思考スキルを多用して認知的評価しながら、問題解決型コーピング方略をとり、効果的にストレス対処していたことが明らかになった。この批判的思考は看護実践能力の1つに位置づけられ、看護職者の客観的・多角的思考として臨床でも獲得が望まれている。 そこで、看護職者の批判的思考態度形成に向け、批判的思考スキルの獲得に影響を与える要因の構成概念を踏まえ、リフレクションを用いたストレスセルフマネジメント教育のプログラム開発を目指すことを目的にした。 看護職者の批判的思考スキルの獲得に影響を与えていた要因は、相互独立的自己観、自己肯定感、ハーディネス特性、General Coping Questionnaire(GCQ)特性などの個人特性であった。自分と他者を区別して高い自律性をもち、現在のありのままの自分を肯定的に感じることができ、高ストレス下では、認知的再評価や問題解決などをストレスコーピング方略として用いて健康を保てる性格特性の者ほど、有意に批判的思考スキルを獲得していた。 そこで、これらの結果を踏まえ、自律性や自己肯定感を高めながら、ストレッサーに対する認知的再評価の過程を振り返る、ストレスセルマネジメントチェック票を作成した。チェック票の項目には、日記を用いた認知行動療法の手法を取り入れた。主な項目は、①ネガティブなライフイベント、②自動思考、③不合理な信念、④根拠となる事実、⑤矛盾する事実、⑥考えのデメリット、⑦自分を大切にする新しい考え方などを含む13項目とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画では、批判的思考スキルの獲得に影響を与える要因の構成概念を踏まえ、リフレクションによるセルフマネジメントチェック票および教示プログラムを作成することとした。 現在までに、構成概念枠組みの構築により調査票および教示プログラムが作成でき、研究倫理審査委員会の承認を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
1.調査票を用いた教育的介入調査の実施 被験者によるリフレクションによる自己評価による調査(主観的指標:自記式チェック票他、客観的指標:唾液アミラーゼ活性値他)を縦断的に実施する。 1)調査対象:臨床における新人看護師30名程度 2)調査方法:縦断的研究の趣旨に賛同を得られた臨床看護師に、自記式調査票を用いた調査および唾液アミラーゼ活性値測定を、1被験者に10回/月程度を1ヶ月間~6ヶ月の期間で実施(1・3・6か月間を各10名)し、1年後に再調査する。 2.教育的介入結果の分析と教育ブログラムの評価
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次年度の研究費の使用計画 |
発注済みの一部物品が生産調整等の理由で、当該年度内に納品されず、精算年度が持ち越された。 また、予定していた学会および講習会などへの参加を公務の都合で見合わせたため、旅費・謝金に未使用が生じた。 本年度は調査研究に関わる、調査票印刷および郵送に関する費用、唾液アミラーゼチップ購入費用、被験者への謝金、学会発表のための旅費として主に使用予定である。
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