研究課題/領域番号 |
25463354
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研究機関 | 亀田医療大学 |
研究代表者 |
渡辺 八重子 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (80627232)
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研究分担者 |
手島 恵 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (50197779)
休波 茂子 亀田医療大学, 看護学部, 教授 (90274745)
クローズ 幸子 亀田医療大学, 看護学部, 名誉教授 (90627233)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療安全 / 組織の安全文化 / TeamSTEPPS |
研究実績の概要 |
予定していた2015年度日本看護科学学会に参加し,研究成果をまとめ報告した。発表テーマは「組織の安全文化の醸成に関わる要因の研究:TeamSTEPPS導入による安全文化の変化」とした。 【概要】医療の安全文化とは,医療に従事する全ての職員が患者の安全を最優先に考え,その実現を目指した態度や考え方,さらにはそれを可能にする組織のあり方であり,医療安全を推進する上で重要な要素であると言われている。AHRQ(Agency for Health Care Research and Quality)はこうした医療安全文化を醸成するための有効な方法としてTeamSTEPPS(Team Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safety)を推奨している。本研究の目的は、TeamSteppsの組織的導入が、医療組織の安全文化にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。結果と考察:TeamStepps導入後に実施した調査結果によると、5病棟のうち、ABの2病棟において肯定的回答割合が60%を超え、高い安全文化を示しており、患者の事故報告件数が増加した。一方で、CDEの3病棟が導入前後で肯定的回答割合にプラスの変化が起きた。この3病棟において、1年間における看護師の退職者数の減少がみられ(50%~70%)た。この3病棟に共通して見られた安全文化要因には、患者安全の促進に関わる上司の考え方と行動、及び組織的継続的な改善が導入前後で10%以上の肯定的回答割合の増大がみられた。結論:TeamStepps の医療機関への導入により、医療安全文化の一部に改善がみられ、医療安全文化の定着への有効性が明らかになった。 2016年QSEN National Forumで「Evaiuation of an InterVention That May Improve of a Japanese Hospital」発表が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題は看護学生の臨地協働による医療安全教育プログラム開発と評価である。 講義,演習,実習は学生の学びの機会であり,特に臨床での見聞,臨床スタッフからの指導には大きく影響を受ける。よって,大学教員と臨床スタッフは医療安全への考え方及びその実践は共通認識のもとに展開される必要がある。 今回,当学の主な実習病院にあたる施設のTeamSTEPPSの導入による安全文化の変化を臨床の職員と研究することで,医療安全への認識を改めて共有し,医療安全教育プログラムの開発に寄与するものとなった(講義で何を学ぶのか,演習で何を学ぶのか,実習で何を学ぶのか,また講義,演習,実習の系統的で連続的な組み立てについててどうすると効果的かなどの検討ができる)。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度,当学の科目「医療安全」2年生全員にQSENコンピテンシーに基づき見直しを行い,新しいプログラムを作成し試行した。設定した28の学習目標の達成度について確認していき,プログラムの改善点をみつける作業を行っている。この新しいプログラムの試行については28年度に看護系の研究発表会で報告したいと考えている。また,平成28年度当学4年生の選択科目「医療安全と感染看護学」「医療安全と感染看護学臨地実習」においてもQSENコンピテンシーに基づいた新しいプログラムを実施し評価する研究を予定している。この結果については,平成29年度の看護系研究発表会で報告したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外での研究発表が平成27年度ではなく,平成28年度5月となったため,交通費等の予算が27年度に発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度5月にサンアントニオで研究発表を行うため,そこで費用が計上される予定。
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