本研究は、前回の科学研究費補助金(平成21年度~平成24年度)で作成した看護技術に対する自己学習支援システムに改良を加えることで、学生の主体的な学びにつながるのか、その有効性を評価することことである。この自己学習支援システムは①自己学習に対する計画、振り返り、評価を行えるe-ポートフォリオ、②学生の学びについて教員とやり取りできる機能、③学生同士が匿名で意見交換できる掲示板機能、④基本的な看護技術に関して確認できる動画、で構成した。 今回の研究期間(平成25年度~平成29年度)の最終年度までの期間では、この基本構成機能のつながりをより強化し、記載するフレームワークも問題解決プロセスのプロセスを意識したものへと変更を加えた。また、研究期間中にも、学生が自己の学習の経時的な振り返りや特定の項目についての検索などが出来る機能、自分の目標について明確化できるフレームワーク等を随時追加し、学生に自由に使用してもらった。 最終年度はこの5年間の学生の利用状況を簡便に集計できる機能を追加し、本プログラムの有効性を評価することとした。その結果、研究開始前のシステムでは、自己学習の記載者の割合は該当学生数の1割程度だったのが、本研究期間では3割程度に増加した。また、実際の記載数も、研究前は1年間で20件程度だったのに対し、本研究期間では、平均300件以上(1年平均)と増加した。 以上の結果より、本システムの改良は、学生の主体的な学習のより一層の向上に寄与することが示唆された。なお、補助金の期間は終了になるが、今回得られた膨大なデータの分析はまだまだ十分ではなく、今後は、今回新しく追加した機能のActivity記録との関連、学生の記載内容に関する質的な評価と合わせて、更なる検討を続けていく予定である。
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