本研究の目的は、わが国大学看護における専門分野別評価の課題を明らかにするため、米国、豪州等および日本の大学看護学教育における高等教育システムをクリティカルレビューにより比較し、大学の認証評価における自己点検評価報告の特徴と教育プロセスの「成果」評価について分析検討することである。 今年度は、2010年に各州単位から国家基準に大きく変革した豪州の大学看護RNの認証評価システムの詳細を現地の聞き取り調査を踏まえて検討した。その結果①RNの資格取得は、オーストラリア看護・助産認証委員会ANMAC(Australian Nursing and Midwifery Accreditation Council)の認証指針に基づき、認証された大学の看護・助産課程修了者(学位取得者)が、オーストラリア保健医療従事者規制庁AHPRAの一部門である看護・助産委員会に自らの資格を登録し得られる(国家試験はない)。②AMMACでは、RN Accreditation Standards(2012)による認定基準を策定し、各大学の看護・助産課程は、この基準に基づき5年毎に認証評価を受ける。③各大学はApplication Packの指示に従い記入し、エビデンスを添え、電子媒体でANMACに評価資料を提出。また、毎年年次報告書を提出し、ANMACは変更がないことを確認。④ANMACは現在新たなスタンダード基準を作成中で2018年に公表予定。⑤メルボルンの2看護大学教員に認証評価システムについて意見を求めると、ANMACの認証評価システムによって看護レベルが全国統一されたため本システムは有用。大学評価機関との重複面の効率化、他職種との協働のための合理化、スリム化と、コストと時間管理の課題を解決する必要性が述べられた。なお、ANMACアクレディテーションの詳細は研究成果報告書を参照のこと。
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