研究実績の概要 |
本年度は、はじめにOldenburg Burnout Inventry (以下、OLBI)日本語版の信頼性と妥当性を検討するために、医療機関に勤務する看護師を対象に調査を実施した。次に看護大学生における、①OLBI日本語版の計量心理学的検討、②学習バーンアウト状況と学習状況の関連を検討することを目的に予備調査を行った。 看護師を対象に実施した調査は先ず予備的調査を行い、解析結果を踏まえた上で本調査を行った。いずれの調査も無記名自記式質問票を用いて行い、予備調査は関東の医療機関2施設で実施し211名(回収率、53.6%)から回答を得た。全国調査は200床以上の医療機関から10%割合で無作為抽出した220施設に調査協力を依頼し、うち協力に同意が得られた43施設3,229名の看護師に調査票を配付し1,505名から回答が得られた(回収率46.6%)。予備調査においてOLBI日本語版の信頼性と妥当性を検討した結果、信頼性は確保されていることが確認された(クロンバックα係数=.848)。尺度の妥当性に関しては精神的健康、自己効力感との相関が認められ(r=-.264,r=.377)、また確認的因子分析によりOLBI同様にOLBI日本語版における2因子構造が確認された。今後、予備調査で得られた解析結果を本調査データにおいて確認するとともに、バーンアウトと自己学習力との関連を検討する。 看護大学生における予備調査は関東の看護大学2校の全学年1,073名に無記名自記式質問票を用いて実施し、312件の回答を得た(回収率29.0%)。低学年の回答を解析したところ学習バーンアウトは学年間で差はみられなかったもののバーンアウトレベルは低くなく、またバーンアウトと自己効力感に高い相関がみられた。予備調査の段階ではあるが、今後さらに解析を進め、看護大学生の学習バーンアウトの実態を明らかにする計画である。
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