研究課題/領域番号 |
25463358
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
樋野 恵子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (30550892)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護教育史 / 近代看護 / 翻訳看護書 |
研究実績の概要 |
現代では看護の対象を生活者として捉え、病院看護と家庭看護の連携が求められている。本研究は、日本の医療史の中に病院看護と家庭看護の源流を探ることを目的としている。平成27年度は、明治7(1874)年に出版された、わが国で最初の翻訳看護書とされる『看病心得草』の原著、Culvin Cutter“First Book on Analytic Anatomy, Physiology and Hygiene”の出版状況について調査した。著者のCulvin Cutter(1807-1873?)は、米国の外科医かつ陸軍将校であった。多くの解剖学関連の書籍を出版しており、その内容は初等教育用から大学教育用まで、様々なレベルでの解剖・生理・衛生学書であった。今回の調査対象とした“First Book on Analytic Anatomy, Physiology and Hygiene”は、1840年の初版以降、非常に多くの版を重ねており、今回把握しただけでも、1857年から1873年にかけて、タミル語、ロシア語、ブルガリア語、トルコ語、アラビア語、カレン語、日本語に翻訳されていることがわかった。また、最近では米国において、2007年ごろより復刻版も出版されている。日本で最初の翻訳看護書『看病心得草』の原著は、当時の米国におけるベストセラーで、多言語に翻訳された解剖・生理・衛生学書であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度は、これまでの調査結果を分析考察・集約し、学術集会での発表と論文による公表を行う計画であったが、希少で入手困難な史料があったこと、翻訳作業に想定以上に時間を要したこと等により、研究の遂行が当初の計画より遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25~27年度の研究成果をふまえ、日本における近代看護がどのように移入・定着・分化していったのか、その歴史的過程を看護系学術集会等において発表する。また、研究成果を論文としてまとめ、日本医史学雑誌、日本看護歴史学会誌等に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、これまでの調査結果を分析考察し、学術集会での発表と論文による公表を行う計画であったが、希少で入手困難な史料があったこと、翻訳作業に時間を要したこと等により、研究の遂行が当初の計画より遅延してしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内における学術集会参加のための費用、論文投稿に関する英文校正費として使用する計画である。
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