研究課題/領域番号 |
25463367
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
田中 美穂 東邦大学, 健康科学部, 講師 (80385567)
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研究分担者 |
松浦 麻子 東邦大学, 看護学部, 助教 (50617313) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中枢性疲労 / Heart rate variability / 交感-迷走神経バランス / 16時間夜勤 |
研究実績の概要 |
シフトワークに従事する女性看護師の夜間勤務(以下、夜勤)中の自律神経バランスや夜勤後の身体機能の計測から、神経生理学手法を用いた客観的な疲労の評価を実勢している。先行の科研費課題研究に引き続く16時間夜勤と、新たに管理当直者の断眠を含む24時間夜勤の評価も本課題に含まれている。 平成26年度の計画は、24時間夜勤のデータ収集と、25年度に16時間夜勤の計測を実施した被験者の追跡調査であった。しかし、どちらも下記「現在までの達成度」に述べる理由によりデータ収集は予定を終了しておらず、27年度への延期となっている。 26年度の研究成果としては、既に計測したデータの分析により、①夜勤による中枢性の疲労が起こっていたことを特定のデバイスで評価でき得ること、②課題の正答率が夜勤後に高まり更に課題が複雑なほど反応が早く正確であることから、看護師が間違いを起こさないように朝方の注意喚起を高めていること、③しかしそういった疲労の表れや自発的な注意喚起が必ずしも課題遂行の正確性を伴わないことが明らかになっている。この結果は、夜勤による疲労と仮眠、朝方のエラーとの関連を考える一助となるものである。この分析結果は「2交代制夜間勤務により起こる中枢性疲労と勤務中の仮眠時間との関連について」というテーマで学会に演題として提出した。27年度中にはさらに3つの学会で成果を発表する予定である。また、現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由) 平成26年度の計画は、24時間管理当直夜勤のデータ収集と、25年度に16時間夜勤の計測を実施した被験者の追跡調査であった。 16時間夜勤の被験者を対象としたデータ収集は、被験者らの勤務する病院の都合により、26年度のデータ収集を見送ることとなった。追跡調査であるため、被験者や施設を変更しての実施が出来ず、やむなくデータ収集を延期することとなった。 24時間管理当直夜勤のデータ収集に関しては、測定デバイスをひとつ追加するべきかどうかという検討で遅延している。16時間夜勤の調査では、夜勤仮眠時間の同定を心電計のR-R間隔とActivityデータ、そして自記式の行動記録表により行った。しかしプレテストの結果、24時間当直の仮眠は途切れた仮眠(断眠)となり、心電計や自記式の行動記録表での仮眠時間の正確な把握が難しいのではないかという懸念が生じた。そこで、簡単な脳波測定により仮眠を同定する方法を検討し、26年度はデバイスのプレテストを行った。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に予定していたデータ収集を27年度初旬に早々に実施し、同時進行で分析と発表を進めていく。 昨年度延期を余儀なくされたフィールドについては、今年度の調査を8月までには完了させることで了承を得ている。使用デバイスの数を増やして平行して多くのデータ収集を進めること、必要に応じてデータ収集には補助者を雇い正確さを損なわない程度に効率を高めることなど、実施する準備を進めている。 もう一つの調査については、デバイスの使用が難しく、データの質を保証するために研究者が単独で行う必要がある。予定人数の測定完了まで長期に及ぶことが予測されるが、分析を同時に進めながら12月を目処に完了させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究フィールドの都合により、データ収集①(16時間夜勤に従事する看護師の追跡データ)が延期となり、研究計画が遅延している。結果被験者への謝金などの人件費が使用されなかったため。また、データ収集②(24時間管理当直夜勤のデータ)に関しては、新しいデバイスの追加とそのプレテストに時間を要したため。結果として、新しいデバイス購入の物品費は使用したが、被験者への謝金などの人件費が使用されなかった。 以上の2つの理由により、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
【データ収集①】被験者謝金の30万円(20名×15,000円)、データ収集補助者への謝金の10万円(5,000 円/回×20日)、効率よく測定するために必要に応じデバイスの台数を増やす(金額は未定)などに使用する予定である。 【データ収集②】被験者謝金の60万円(30名×20,000円)、効率よく測定するために必要に応じデバイスの台数を増やす(金額は未定)などに使用する予定である。
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