研究実績の概要 |
本研究は、高齢者施設において感染予防を推進するための「組織・ネットワーク作成」を目的に、高齢者施設の感染対策の現状および課題を明確化し、必要な支援体制を検討することを研究目的としている。 わが国における感染対策は、過去10~20年間に目覚しい進歩を遂げている。しかし、感染対策は人的・金銭的費用がかかるため、高齢者施設などは高度医療施設のような対策は実施できない現状がある。また現在の一般化された感染対策は医療施設における感染対策をイメージして考えられているため、高齢者施設では効果的な対策とならないため、むしろ必要な対策が実施されていない現状にある。 先行研究(平成28年度)によると、現在わが国の高齢者の介護予防サービスの事業所数は、介護予防訪問介護が34,113 事業所、介護予防通所介護が41,448 事業所となっており、介護サービスの事業所数をみると、訪問介護が35,013 事業所、通所介護が23,038 事業所、平成28 年4月に通所介護のうち小規模なものが移行した地域密着型通所介護が21,063 事業所となっている。さらに介護保険施設は、介護老人福祉施設が7,705 施設、介護老人保健施設が4,241 施設、介護療養型医療施設が1,324 施設であり、年々大幅な増加している現状がある。これらの開設主体別施設数の構成割合は、介護老人福祉施設では「社会福祉法人(社会福祉協議会以外)」が94.5%と最も多く、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設では「医療法人」が75.1%、83.3%とそれぞれ最も多くなっている 規制緩和によって、高齢者介護事業の拡大が進んでいるが、必ずしも医療系ではない母体であるため、感染対策への取り組みが不十分となる土壌であることが分かった。
|