研究課題/領域番号 |
25463385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
掛田 崇寛 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (60403664)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 鎮痛 / 咀嚼 |
研究概要 |
本研究の目的は味覚刺激と咀嚼運動の併用が痛覚の受容に対してどのような効果がもたらされるのかを検証することである。実験では健康成人を対象に、痛覚受容に対する味覚刺激及び咀嚼運動が唾液中ストレス物質をはじめ、心拍変動データ、精神性発汗量、痛覚受容潜時、各種心理テストを用いた情動評価、Visual Analogue Scaleを用いた主観的評価等へどのような影響を及ぼすのかを多角的に検証することである。 平成25年度は3つの予備検討を行った。まず最初に、メトロノームによる一定リズム音に合わせて咀嚼運動のみを行うことで、情動及び生体にどのような影響が生じるのかを検討した。2番目の予備検討として、安静状態で予め設定された一定リズム音を受動的に集中聴取することによってどのような影響が生じるのかについても検証した。次に、本研究に用いる痛覚刺激装置の購入に関しては当初の予定を変更し、安全性を考慮して表皮内電気刺激装置を選定した。その上で、3つ目の予備検討として少数例ではあるが健康成人男性を対象に、この表皮内電気刺激法による痛覚刺激によってどのような生体反応を生ずるのかを検討した。その結果、まず表皮内刺激装置は非侵襲的に穿刺様の痛みを誘発できることを確認した。また、刺激後に被験者の同側手掌部からは痛覚受容に伴って精神性発汗の分泌が観察され、この発汗については被験者ごとに個体差が想定されるような結果を得た。よって、平成25年度は3つの予備検討を行ったが、このうち最初の予備検討結果については学会発表を行った。また、残り2つの予備検討結果についても次年度に開催される学術集会で発表する。また、平成25年度に行った予備検討結果を基に、平成26年度については痛覚受容に対する味覚刺激及び咀嚼運動の併用効果について本格的に検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は咀嚼運動と痛覚刺激のそれぞれの側面から、単独で検討を行うにとどまった。この最大の理由は当初購入を予定した痛覚刺激装置を変更し、被験者にとってより安全に用いる装置を用いることを再考し、その購入に時間を要したことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は前年度に行った3つの予備検討結果を基に、痛覚受容に対する味覚刺激及び咀嚼運動の併用効果について本格的に検証していく。実験では研究計画書に基づいて、表記内電気刺激装置によって誘発する穿刺様痛に対して、味覚刺激及び咀嚼運動による介入が痛覚受容に対してどのような影響をもたらすのかを時系列で検討していく。また、夏季及び冬季の時期を中心に、集中して実験を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の実験では人工的に誘発した痛み刺激を用いる。そのため、被験者の安全をより担保するために購入する痛覚刺激装置の変更を行った。しかし、その検討に時間を要してしまい、本来であれば集中して実験が行える夏季等の時期に研究実施ができなかったことがあげられる。これに付随して、研究実施に伴う検体検査料などの執行が遅れたことが原因で繰越金が発生した。また、今回痛覚刺激用に購入した表皮内電気刺激装置は当初計画していた機器に比べて特殊電極の代金を含めても価格が低かったことも繰越金が生じた一因である。 平成26年度は昨年度の研究実施を挽回するためにも、夏季及び冬季の期間中だけでなく、講義と大学業務を調整しながら本研究を精力的に実施していく。また、平成25年度に行った3つの予備検討のうち、残り2つの予備検討結果については平成26年度に発表する。
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