研究課題/領域番号 |
25463388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
武田 道子 四国大学, 看護学部, 准教授 (40552097)
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研究分担者 |
佐々木 久美子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80310150)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害 / 共助 / 被災者 |
研究概要 |
本研究は、大災害による被災後の健康を守る地域共助力構造モデルの作成および評価項目の抽出により、健康を守る地域共助力の評価指標の開発に役立てる基礎資料とすることを目的としている。大災害に備えて、被災後の生活による健康の二次被害を防ぐために、住民同士の健康の相互管理等の健康を守る共助力を高める取り組みをする必要がある。この取り組みには、地域毎の健康を守る地域共助力の事前評価をしたうえで効果的に実施する必要があるため、地域共助力評価指標の開発が求められる。 本年度は、地域の健康を守る地域共助力の構造モデルの概念枠組みの作成のため、被災時に健康を守る共助活動が実施できた地域の住民への面接調査によって、共助活動の要因を明らかにすることとした。方法として、東日本大震災で津波被害を受けたA町において、被災後避難所や仮設住宅において共助活動を実践した地域住民のなかで、リーダー的役割を果たした者を対象に、半構成的面接調査を実施した。面接では、被災後住民同士で実施した健康を守る共助の内容および所属地域で健康を守る共助ができた要因について聞き取った。その結果、被災時健康を守る共助の活動ができた要因は、好ましい人間関係が平常にも、被災時にも存在したことにある。平時には助け合う意識がある地域の雰囲気があり、被災時には好ましい人間関係の存在を背景とした支え合いがあり、被災後には被災者同士の新たな人間関係が生まれたといえる。さらに、震災時を想定した自主防災組織の備えがあったことや、役割分担と意思疎通の円滑な地域の繋がりがあり、そこにリーダーが役割発揮したことにあった。 これらのことから、健康を守る地域共助の要因は、被災前から好ましい人間関係、自主防災組織の備え及び意思疎通の円滑な地域のつながりがと考えられ、地域共助力の構造内容であると考えらた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的は、大災害による被災後の健康を守る地域共助力構造モデルの作成および評価項目の抽出により、健康を守る地域共助力の評価指標の開発に役立てる基礎資料とすることを目的としている。初年度である本年は、地域共助の要因を質的に抽出することができた。さらに追加して、災害共助力の内容や災害共助力評価に関する文献検討から、ソーシャルキャピタルのキーワードが、関連する概念として抽出された。健康を守る地域共助力(ネットワーク、信頼、社会参加)、コミュニティ、知識・技術などを構造化の項目として活用し、質的な地域共助の要因と、併せて研究者間で項目の精選をすると同時に、構造化の概念を作成することができた。今後、地域共助力を量的に把握するためのアンケート調査項目の作成に役立てることに繋がると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、健康を守る地域共助力の構造化のために、(1)健康を守る地域共助力の構造の概念枠組みにそった被災地域の実態調査および(2)調査結果の記述統計およびクロス集計による分析・健康を守る地域共助力構造モデルの推定を実施する。 (1)健康を守る地域共助力の構造の概念枠組みにそった被災地域の実態調査 健康を守る地域共助力の構造モデルにそって、被災経験のない地域と同じ調査票を用いて、健康を守る地域共助力の調査を行う。被災していない地域の健康を守る地域共助力との違いを明らかにするため、被災地の一定地域の全数を対象とした無作為標本抽出500例を対象とする。調査の実施は、研究分担者が中心となって調査協力依頼や調整を行う。 (2)調査結果の記述統計およびクロス集計による分析・健康を守る地域共助力構造モデルの推定 平成26年度の被災地調査および平成25年度の被災経験のない地域調査の比較検討をする。分析にあたっては、2名の研究者が、男女別、年齢別、都市部と農漁山村部別に分析解析を行い、共助力構造モデルの推定を行う。統計解析は、統計ソフトAmosを活用し、 共分散構造分析によって、項目間の関係性をパス図で表現し、モデルの推定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
概念枠組みの作成に時間をかけ、調査計画を次年度に回したため、調査費用が減額された。コンピューターサービスの整備により、文献入手がたやすくなり、物品費を減額できた。 今後、事前に計画していた調査活動のための費用を執行したい。また海外文献の入手等にも使用したい。
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