大災害による被災後の健康を守る地域共助力構造モデルの作成および評価項目の抽出を目的とした。 健康を守る地域共助力の構造の概念枠組みを作成するため、①地域組織活動の活発さと地域防災リーダーの共助力の備えの関連、②ソーシャルキャピタルと住民の健康を守る共助力の関連、③被災時に健康を守る共助活動が実施できた地域の共助活動の要因を抽出した。この結果を統合し、健康を守る地域共助力の構造は、地域の人間関係、自主防災組織の自主性、組織のリーダーの統率力、地域のソーシャルキャピタルおよび地域組織活動状況に関連すると考え、これを地域共助力の概念枠組みとした。 最終年度はこの概念枠組みを用いて、被災地域および被災していない地域の住民と地域防災組織リーダーを対象に質問紙による実態調査をした。質問項目は、健康を守る地域共助力の構造モデルにそって作成し、属性、地域の人間関係、ソーシャルキャピタルおよび地域組織活動状況とした。地域住民259名および地域防災組織リーダー39名の回答があった。結果、健康を守る地域共助力は、地域の人間関係、自主防災組織の自主性、地域のソーシャルキャピタルと相関がみられたが、地域自主防災組織のリーダーへの回収数が低かったことから、自主防災組織の自主性、組織のリーダーの統率力との明らかな関連は見当たらなかった。 健康を守る地域共助力の構造は、地域の人間関係、地域のソーシャルキャピタルおよび地域組織活動状況に関連すると考えられるため、健康を守る地域共助力の評価指標の開発に役立てる基礎資料とし、健康を守る地域共助力評価尺度の開発に着手する予定である。同時に、データ数を増やして自主防災組織の自主性、組織のリーダーの統率力の検討をする。この評価尺度は地域共助力の育成を効果的に実践することにつながり、昨今の国の重要課題である防災・減災の解決策になるという意義がある。
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