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2013 年度 実施状況報告書

医療処置を要する療養者支援における看護職・介護職間の連携の質指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25463393
研究種目

基盤研究(C)

研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

原口 道子  公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主任研究員 (00517138)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード看護学 / 医療福祉 / ネットワーク / 連携
研究概要

本研究は、医療を要する療養者ケアの質指標として介護職と看護職の連携尺度を開発する。当該年度は、以下1~3を実施し、2カ年目以降に、4.連携尺度項目案の信頼性・妥当性の検証(看護職・介護職対象の質問紙調査)を行う。
1.看護と介護の連携に関する概念整理・連携項目の抽出・精錬(文献調査):介護職による喀痰吸引等実施に関する法改正前の「看護と介護の連携」に関する研究動向・概念整理を行った。医学中央雑誌WEB版のキーワード「看護and 介護and 連携and 原著論文 and 2008-2013」で検索した466件のうち、看護・介護の用語が職種を意味する論文113件の研究領域は施設が最も多く56件、在宅は26件であった。職種間の連携関係を扱う論文は36件(うち在宅領域2件)であった。看護職・介護職の連携を構成する要素として、構造的要素(組織・役割・連携体制・情報管理)、プロセス要素(事前取り決め・実施協力・継続・人間関係)、アウトカム要因(目標管理など)の構成要素の示唆を得た。
2.法改正後の在宅医療提供における課題分析:法改正前後の行政文書を比較した結果、法制化前は研修や医学的管理は患者との個別的関係によって責任体制が不明確なまま実施されていたが、法改正後は、一定の研修・組織的管理の下で医師の指示により実施され、医療職員との連携・安全管理・緊急時対応も明確になり、看護と介護の関係性も位置づけられた。
3.連携項目の精錬と看護と介護の連携尺度項目案の作成(面接調査)
看護職4名の面接調査、介護職8名のフォーカスグループインタビューにより、在宅における看護職と介護職の連携を構成する要素を質的帰納的に分析した結果、213の文脈から68項目の連携項目が抽出された。組織体制・連絡体制・役割分担・連携方法や効果的な連携のための活動・関係形成等に関する項目により、連携尺度項目案を作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、医療を要する療養ケアの質指標として介護職と看護職の連携尺度を開発する。研究計画は、1.看護と介護の連携に関する概念整理・連携項目の抽出・精錬(文献調査)、2.法改正後の提供体制における課題分析、3.1と2による連携項目の精錬と看護と介護の連携尺度項目案の作成(面接調査)、4.連携尺度項目案の信頼性・妥当性の検証(看護職・介護職の質問紙調査)を行う。当該年度は、1~3を実施した。
1について、介護職が一定の要件下により喀痰吸引等の実施ができることになった社会的状況を踏まえて、近年の「看護職と介護職の連携」に関する研究動向および概念整理を行い、計画通りに進展している。
3.看護と介護の連携尺度項目案の作成では、1と2における先行文献および行政資料に基づく「看護職と介護職の連携」の構成要素を参考としながら、面接調査結果を質的帰納的に分析した。これにより、次年度に実施する4.連携尺度項目案の信頼性妥当性の検証(質問紙調査)のための項目の作成に至り、計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

平成25年度の成果である在宅における看護職と介護職の連携に関する概念整理については、論文投稿をする予定である。
【平成26年度】平成25年度に作成した「医療を要する療養者支援における看護職と介護職の連携尺度案」の項目について、統計的な精錬(尺度の信頼性妥当性の検討)を行い、連携尺度を完成する。訪問看護師・訪問介護職員(各1000名程度:無作為抽出)を対象とした自記式質問紙調査(郵送法による配布、回収)により、医療を要する療養者支援における看護職と介護職の連携尺度案による連携状況に加えて、看護と介護の連携に関する主観的評価等を調査する。連携の実態の記述統計および連携尺度項目案の因子分析による構成概念妥当性等の統計解析を行い、連携尺度を完成する。
【平成27年度】平成25-26年度の段階を経て開発する「医療を要する療養者支援における看護職と介護職の連携尺度」を用いた連携実態調査を行うことにより、平成24年4月の「社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正」による新たな医療提供体制の移行期としての連携実態と課題・安全かつ円滑な医療提供の実現に向けた今後の方策を検討する。更に、連携の状態に影響する要因・効果的な連携によるアウトカム評価の検証のために必要な資料を得る。研究方法は、訪問看護事業所管理者・訪問介護事業所管理者各 1000名程度を対象とした自記式質問紙調査である。開発する連携尺度による連携実態に加え、医療処置を要する療養者支援における看護職または介護職との連携の経験、連携を良好に行うための課題および工夫、連携の効果としての経験等について調査し、連携尺度の回答を従属変数として、連携に影響を与える要因・連携の効果について統計解析を行う。
以上により、ケア提供の質を測定する尺度を開発することによって、ケアの質の可視化や比較、療養環境等との関連性の検討・ケアの質評価等に寄与する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じた費目は、「旅費」「人件費」である。面接調査に協力してもらうことができた対象者が、比較的近隣地域であったことから、旅費が当初の予定額を必要としなかった。
「人件費」については、面接調査内容のテープ起こし作業等の業務のために予定していたが、面接調査内容のボリュームが大きく、急遽、業者委託により行ったためである。
次年度の計画では、当該年度に作成した項目案を用いて全国調査を実施する予定である。当該年度に作成した質問紙項目が想定より多く、そのためのデータ入力作業等が発生するため、この作業について「人件費」を使用する予定である。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 筋萎縮性側索硬化症療養者の外来における支援課題および看護機能の構造2014

    • 著者名/発表者名
      原口道子,中山優季,松田千春,小倉朗子,長沢つるよ,板垣ゆみ,清水俊夫
    • 雑誌名

      日本難病看護学会誌

      巻: 18(3) ページ: 185-197

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dendritic retraction, but not atrophy, is consistent in amyotrophic lateral sclerosis-comparison between Onufs neurons and other sacral motor neurons2014

    • 著者名/発表者名
      Takeda T, Uchihara T, Nakayama Y, Nakamura,A, Sasaki S, Kakei S, Uchiyama S, Duyckaerts C, Yoshida M
    • 雑誌名

      Acta Neuropathologica Communications

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1186/2051-5960-2-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 侵襲的陽圧補助換気導入後の筋萎縮性側索硬化症における意思伝達能力障害2013

    • 著者名/発表者名
      林健太郎,望月葉子,中山優季,清水俊夫,川田明広,長尾雅裕,水谷俊雄,松原四郎
    • 雑誌名

      臨床神経学

      巻: 53(2) ページ: 98-103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ALS療養者における唾液嚥下障害スコアの信頼性に関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      中山優季,清水俊夫,松田千春,小倉朗子
    • 雑誌名

      日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌

      巻: 23(1) ページ: 96-102

    • 査読あり
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症療養者に対する介護職員等による喀痰吸引等の提供に関する難病保健活動-実態・課題(阻害要因)および難病保健活動の取り組み-2014

    • 著者名/発表者名
      原口道子,小倉朗子,中山優季,松田千春,板垣ゆみ.
    • 学会等名
      第2回日本公衆衛生看護学会学術集会
    • 発表場所
      神奈川、小田原
    • 年月日
      20140113-20140113
  • [学会発表] 保健所等保健師を対象とする「難病の保健活動研修」における「難病の地域診断ツールの評価2014

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子,板垣ゆみ,原口道子,中山優季,松田千春
    • 学会等名
      第2回日本公衆衛生看護学会学術集会
    • 発表場所
      神奈川
    • 年月日
      20140113-20140113
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症療養者における意思伝達の状況と症状出現に関する研究-3年間の経過追跡より-2013

    • 著者名/発表者名
      中山優季,松田千春,原口道子,小倉朗子
    • 学会等名
      第33回日本看護科学学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20131206-20131207
  • [学会発表] 在宅神経難病療養者に対する介護職員等による喀痰吸引等の実施-法制化後の訪問看護師の連携状況と課題-2013

    • 著者名/発表者名
      原口道子,小倉朗子,中山優季,松田千春,板垣ゆみ
    • 学会等名
      第3回日本在宅看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20131116-20131116
  • [学会発表] ALS在宅人工呼吸療養者に生じた陰性徴候・随伴症状の出現傾向に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      中山優季,松田千春,原口道子,小倉朗子,村田加奈子
    • 学会等名
      第23回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20131010-20131010
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症療養者に対する外来看護機能の構造化2013

    • 著者名/発表者名
      原口道子,中山優季,松田千春,小倉朗子,長沢つるよ,板垣ゆみ,清水俊夫
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [学会発表] ALS人工呼吸療養者の臨床経過における口腔の問題の変化と従来のALS以外の症状との関係性に関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      松田千春,中山優季,原口道子,板垣ゆみ,小倉朗子
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者における生体信号を用いた意思伝達装置の導入検討時の意思伝達状況2013

    • 著者名/発表者名
      中山優季,松田千春,原口道子,小倉朗子,望月葉子,長尾雅裕,清水俊夫
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [学会発表] 難病在宅人工呼吸療養者に対する都道府県における災害対策の取り組みとその推進にかかわる課題2013

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子,小川一枝,板垣ゆみ,中山優季,原口道子,松田千春,長沢つるよ,川崎芳子
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [学会発表] 在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業の実績報告の分析からみる訪問看護のニーズ2013

    • 著者名/発表者名
      板垣ゆみ,小倉朗子,中山優季,原口道子,松田千春,小川一枝,長沢つるよ,川崎芳子
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [学会発表] 難病療養者の家族介護者が抱える問題と訪問看護支援-多系統萎縮症の事例から2013

    • 著者名/発表者名
      坂田小紅,其田貴美枝,斉藤澄子,浦橋久美子,畑山緑,原口道子,中山優季,小倉朗子
    • 学会等名
      第18回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130825-20130825
  • [図書] 平成25年度厚生労働省セーフティネット支援対策等事業費補助金訪問看護事業所と訪問介護事業所の喀痰吸引等における在宅連携の普及に関する調査研究事業 報告書2014

    • 著者名/発表者名
      川村佐和子,秋山正子,上野桂子, 内田千惠子,菊池睦子,斎藤訓子,佐野けさ美,高杉敬久,戸賀祐子, 原口道子
    • 総ページ数
      126
    • 出版者
      一般社団法人全国訪問看護事業協会
  • [図書] 外国人介護福祉士候補者のための介護福祉士国家試験対策テキスト「医療的ケア」2014

    • 著者名/発表者名
      上野桂子,植村康生,益加代子,岡本匡弘,佐野けさ美,柴山義明,橋本由紀江,原口道子
    • 総ページ数
      86
    • 出版者
      国際厚生事業団
  • [図書] EPA介護福祉士候補者受け入れ標準的な学習プログラム及び研修の手引き改訂版」2014

    • 著者名/発表者名
      上野桂子,植村康生,益加代子,岡本匡弘,佐野けさ美,柴山義明,橋本由紀江,原口道子
    • 総ページ数
      73
    • 出版者
      国際厚生事業団
  • [図書] ナーシンググラフィカ基礎看護学看護研究 第2版2013

    • 著者名/発表者名
      川村佐和子,幸山靖子,原田光子,石鍋圭子,大串靖子,小山敦子,塗谷智子,原口道子,池田和子,葛西智賀子,村田加奈子,其田貴美枝,渡邉知子,勝野とわ子
    • 総ページ数
      142(56-60,66-69)
    • 出版者
      メディカ出版
  • [図書] 介護職員等実務者研修(450時間研修)テキスト第5巻医療的ケア2013

    • 著者名/発表者名
      新田國夫,川村佐和子,上野桂子,黒澤貞夫,白井孝子,川井太加子,久保田トミ子,秋山昌江,西井啓子,五十嵐さゆり,布施千草,小林康子,東海林初枝,木本洋子,小林千恵子,原口道子,横山孝子
    • 総ページ数
      258(178-219)
    • 出版者
      中央法規出版
  • [図書] 新介護福祉士養成講座別巻医療的ケア2013

    • 著者名/発表者名
      新田國夫,川村佐和子,上野桂子,黒澤貞夫,白井孝子,秋山昌江,五十嵐さゆり,鎌田恵子,川井太加子,木本洋子,久保田トミ子,小林千恵子,小林康子,東海林初枝,西井啓子,原口道子,布施千草,山谷里希子,横山孝子
    • 総ページ数
      245(190-211)
    • 出版者
      中央法規出版

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公開日: 2015-05-28  

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