• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

医療処置を要する療養者支援における看護職・介護職間の連携の質指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25463393
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

原口 道子  公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主任研究員 (00517138)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード看護学 / 医療福祉 / ネットワーク / 連携
研究実績の概要

本研究は、医療を要する療養者ケアの質指標として介護職と看護職の連携尺度を開発する。
初年度は、概念整理と面接調査に基づき連携尺度項目案(46項目)を作成した。当該年度は、探索的因子分析による連携尺度の開発を行った。訪問看護事業所964件・訪問介護事業所965件を対象に項目案による連携実態調査(5段階リッカート法)を実施し、訪問看護師156名(有効回答125)、訪問介護職員98名(有効回答76)より回答を得た。看護職-介護職間で平均点に有意差があった項目は6項目であった。因子分析の項目選択では、無回答が多かった2項目を削除し、看護職と介護職のいずれかで尖度が±2以上かつ全回答数の50%以上が選択肢の一つに集中した5項目を削除した。看護・介護それぞれで全項目間の相関係数0.7以上は削除の適否を検討して3項目を削除した。看護-介護の統合データにより37項目で因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った。因子負荷量0.35未満およびどの因子にも属さない項目、共通性が低い項目を順次削除し、負荷量平方和累計%とパターン行列を繰り返し確認した。23項目で4因子が抽出され、第1因子(10項目)は個別支援を協力・共有して取り組む「協働実施」、第2因子は「関係構築(7項目)」、第3因子は「危機管理(4項目)」、第4因子は「運営(2項目)」と命名した。尺度全体のα係数は0.94、各因子内α係数0.81~0.90であった。同様の23項目による看護職・介護職それぞれの因子分析結果では、因子構成は異なるが看護職は負荷量平方和累計%55.17%(α係数0.93)、介護職は60.6%(α係数0.94)となった。統合データ、看護職データ・介護職データそれぞれにおいて、IT相関分析ですべての項目に相関を認め、GP分析で有意差を認めて、信頼性を確認し連携尺度を完成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、医療を要する療養者ケアの質指標として看護職と介護職の連携尺度を開発する。研究計画は、1.看護と介護の連携に関する概念整理・連携項目の抽出・精錬、2.法改正後の提供体制における課題分析、3.1と2による連携項目の精錬と看護と介護の連携尺度項目案の作成(面接調査)、4.連携尺度項目案の信頼性・妥当性の検証(看護職・介護職の質問紙調査)を行う。
初年度は、1~3を修了し、当該年度は、4について連携実態調査の実施および探索的因子分析により連携尺度を完成することを目標としていた。
計画通り、当該年度は訪問看護師・訪問介護職員に対する連携実態調査を実施し、統計的分析により妥当性・信頼性を確認した連携の質指標(尺度)を完成したため、計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

平成26年度の成果である医療処置を要する在宅療養者支援における看護職・介護職の連携の質指標(尺度)の開発については、論文投稿をする予定である。
最終年度となる平成27年度は、開発した連携の質指標(尺度)を用いて、連携実態調査を行う。これにより、平成24年4月の「社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律」による新たな医療提供体制の移行期としての連携実態と課題・安全かつ円滑な医療提供の実現に向けた今後の方策を検討する。更に、連携の状態に影響する要因・効果的な連携によるアウトカム評価の検証のために必要な資料を得る。研究方法は、訪問看護事業所管理者・訪問介護事業所管理者各1000名程度を対象とした自記式質問紙調査である。開発する連携尺度による連携実態に加え、医療処置を要する療養者支援における看護職または介護職との連携の経験・連携を良好に行うための課題及び工夫、連携の効果としての経験等について調査し、連携尺度の回答を従属変数として、連携に影響を与える要因・連携の効果について統計解析を行う。
以上により、ケア提供の質を測定する尺度を開発することにより、ケアの質の可視化や比較、療養環境等との関連性の検討・ケアの質評価に寄与する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた費目は、「その他」「旅費」である。「その他」については、調査票のデータ入力を業者委託する予定であったが、協力者への依頼が可能となったため人件費として支出したためである。また、「旅費」については、統計手法に関する助言を受ける協力者が、比較的近隣の協力者に依頼できたため旅費が不要となった。

次年度使用額の使用計画

当該年度に実施した質問紙調査の印刷および発送にかかる支出を参考とした場合、次年度の調査に係る印刷・発送費用が不足する可能性があるため、「その他」の費目として使用する予定である。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) 図書 (3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業の実績報告書の分析からみる訪問看護のニーズ2015

    • 著者名/発表者名
      板垣ゆみ,小倉朗子,中山優季,原口道子,松田千春,小川一枝,長沢つるよ,川崎芳子, 小森哲夫
    • 雑誌名

      日本難病看護学会誌

      巻: 19(3) ページ: 255-263

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 看護基礎教育における在宅看護学実習の現状と課題-訪問看護ステーションへのインタビュー調査から-2015

    • 著者名/発表者名
      柏木聖代,川村佐和子,原口道子
    • 雑誌名

      日本在宅看護学会誌

      巻: 3(2) ページ: 44-54

    • 査読あり
  • [学会発表] 都道府県保健所・保健所設置市における「難病対策・保健活動および人材育成」と「難病の患者に対する医療等に関する法律」2015

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子, 原口道子, 板垣ゆみ, 中山優季, 松田千春
    • 学会等名
      第73回日本公衆衛生看護学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2015-01-10
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症の病状進行の予測的判断に基づく外来看護-訪問系サービスの利用状況との関係-2014

    • 著者名/発表者名
      原口道子, 中山優季, 松田千春, 小倉朗子, 板垣ゆみ
    • 学会等名
      第34回日本看護科学学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-11-30
  • [学会発表] 低定量持続吸引可能な自動吸引システム実施に関する成果と課題の検討2014

    • 著者名/発表者名
      松田千春, 中山優季, 原口道子, 板垣ゆみ, 小倉朗子
    • 学会等名
      第34回日本看護科学学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-11-29
  • [学会発表] 医療依存度の高い在宅療養支援における看護職と介護職の連携-連携の質指標開発に向けた概念整理-2014

    • 著者名/発表者名
      原口道子, 小倉朗子, 中山優季, 村田加奈子, 松田千春, 板垣ゆみ
    • 学会等名
      第4回日本在宅看護学会学術集会
    • 発表場所
      東邦大学(東京都・大田区)
    • 年月日
      2014-11-15
  • [学会発表] 看護基礎教育における在宅看護学実習のあり方の検討-実習施設へのインタビュー調査から-2014

    • 著者名/発表者名
      柏木聖代, 川村佐和子, 原口道子
    • 学会等名
      第4回日本在宅看護学会学術集会
    • 発表場所
      東邦大学(東京都・大田区)
    • 年月日
      2014-11-15
  • [学会発表] 東京都のH24年度臨床調査個人票の分析からみた人工呼吸器使用難病患者の療養状況2014

    • 著者名/発表者名
      板垣ゆみ, 小倉朗子, 中山優季, 原口道子, 松田千春
    • 学会等名
      第73回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(栃木県・宇都宮市)
    • 年月日
      2014-11-06
  • [学会発表] 東京都の臨床調査個人票の分析からみた人工呼吸器使用ALS患者の年度別療養状況比較2014

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子, 板垣ゆみ, 中山優季, 原口道子, 松田千春
    • 学会等名
      第73回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(栃木県・宇都宮市)
    • 年月日
      2014-11-06
  • [学会発表] ALS長期在宅人工呼吸療養者の終末期における呼吸管理上の課題2014

    • 著者名/発表者名
      中山優季, 松田千春, 原口道子, 小倉朗子
    • 学会等名
      第24回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
    • 発表場所
      なら100年会館(奈良県・奈良市)
    • 年月日
      2014-10-25
  • [学会発表] 低定量持続吸引可能な自動吸引システムの使用状況に関する実態調査2014

    • 著者名/発表者名
      松田千春, 中山優季, 原口道子, 板垣ゆみ, 小倉朗子
    • 学会等名
      第19回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      広島国際大学(広島県・呉市)
    • 年月日
      2014-08-30
  • [学会発表] 地区医師会における難病の地域ケアシステムに関わる諸活動の歴史と成果2014

    • 著者名/発表者名
      小倉朗子, 板垣ゆみ, 谷口亮一, 本田理, 窪川良廣, 若林研司, 原口道子, 中山優季, 松田千春
    • 学会等名
      第19回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      広島国際大学(広島県・呉市)
    • 年月日
      2014-08-30
  • [学会発表] 在宅人工呼吸器使用者の災害発生時の安否確認 -訪問看護ステーション用のチェック表作成-2014

    • 著者名/発表者名
      長沢つるよ, 小川一枝, 川崎芳子, 荒井紀恵, 中山優季, 原口道子, 小倉朗子
    • 学会等名
      第19回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      広島国際大学(広島県・呉市)
    • 年月日
      2014-08-30
  • [学会発表] 在宅神経難病療養者の医療安全に関する検討 - 訪問看護師が把握したヒヤリハット事象の分析-2014

    • 著者名/発表者名
      原口道子, 小倉朗子, 中山優季, 松田千春, 板垣ゆみ
    • 学会等名
      第19回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      広島国際大学(広島県・呉市)
    • 年月日
      2014-08-29
  • [学会発表] 低定量持続吸引による自動吸引システム長期使用者の成果と課題2014

    • 著者名/発表者名
      松田千春, 中山優季, 原口道子, 板垣ゆみ, 小倉朗子
    • 学会等名
      第36回日本呼吸療法医学会学術総会
    • 発表場所
      秋田キャッスルホテル(秋田県・秋田市)
    • 年月日
      2014-07-19
  • [図書] 平成26年度社会福祉推進事業「介護職員等によるたんの吸引等の研修テキストの見直しに関する調査研究事業」報告書2015

    • 著者名/発表者名
      川村佐和子,上野桂子,佐野けさ美,高瀬義昌,田中涼子,戸賀祐子,原口道子,柊崎京子
    • 総ページ数
      478
    • 出版者
      一般社団法人全国訪問看護事業協会
  • [図書] 人工呼吸ケアのすべてがわかる本2014

    • 著者名/発表者名
      道又元裕, 中山優季, 原口道子, 松田千春 他
    • 総ページ数
      375(370-376, 378-385)
    • 出版者
      照林社
  • [図書] ナーシング・アプローチ難病看護の基礎と実践―すべての看護の原点2014

    • 著者名/発表者名
      川村佐和子, 中山優季, 原口道子, 松田千春, 小倉朗子
    • 総ページ数
      253(15-20)
    • 出版者
      桐書房
  • [備考] 公益財団法人東京都医学総合研究所 難病ケア看護データベース

    • URL

      http://nambyocare.jp/

  • [備考] 在宅医療安全/ヒヤリハット情報収集・情報検索システム

    • URL

      http://nambyocare-db.jp/client/top

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi