研究目的とする、食卓の営みに着目した看護モデルを用いた2型糖尿病女性の援助プログラムの開発のために、今年度は、研究協力者の実践による事例の成果の検討と、プログラムの作成を実施した。 実施計画に沿って、研究協力者の実践事例を検討し、援助実践に基づき、活用できるプログラムを検討した。 実践事例の検討は、隔月で事例検討会を企画し、27年度は6回開催し、26年度と合わせて9回の実施となった。事例は、研究の同意を得られた2型糖尿病女性患者7名と、それ以外にも研究協力者が日常の業務で経験したことがらについて検討した。本プログラムの活用に当たって、事例をもとに検討された内容は、昨年度の、対象者の選定と援助のきっかけづくり、タイミング、語りきるのを待つことについてなど、に引き続き、援助の成果である「食卓の営み」の語りを引き出すことについて、相手の世界に入るということ、及び、語りを聴くことを看護援助とした際の、援助者(聴く側)のコンディション(準備、聴いているときの援助者の感情、迷い、不安、待てない)があることの確認と、援助者の視点がゆらがないようにするにはどのようにできるのかなど、援助者としての在りように焦点が当たった。 これら、研究協力者の本モデル使用の実践経験を下に、全体会議を7月8月9月と3回開催し、研究代表者の立案した援助プログラム案を検討・精錬し、プログラムを作成した。 この過程で、実践事例については、今年度国内学会で3件、国際学会で1件、モデルについて国際学会で1件、発表した。また、これまでの先行研究で、聴き方について示唆が得られるものはあったが、聴く側のコンディションを研究している文献はなく、語りを聴く援助を看護実践とする場合の援助者のコンディションについて、今後新たに研究的に取り組む必要があると示唆を得た。
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