研究課題/領域番号 |
25463399
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
永田 文子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (30315858)
|
研究分担者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 看取り / 介護老人福祉施設 / 特別養護老人ホーム / 遺族評価 |
研究実績の概要 |
本研究は介護老人福祉施設での看取りケアを遺族が評価するスケール(遺族評価スケール)を開発することを目的としている。全国の介護老人福祉施設のうち平成25年10月の時点で看取り介護加算を取得し、かつ入所者定員が50人以上の施設である3,339施設中、協力が得られた176施設(5.3%)、493人の遺族に、平成23年と24年に実施した遺族インタビューから得られた結果をもとに作成した43項目の遺族評価スケールを配布し487人(98.8%)から回答を得た。 除外基準を参考に405人を分析対象とした。遺族評価スケールで看取りケアの全体的満足度を10点満点で評価してもらった結果、平均点は9.2±1.14点であった。基準関連妥当性のために測定したFamily Perception on Care Scale(FPCS、25項目、7ポイントリッカートスケール)で平均値が高かった項目は、「職員は私(遺族)が家族のそばにいることを歓迎してくれた」、「職員は私に対して親切だった」、「家族(入所者)が過ごしたフロアは適切だった」であった。反対に平均値が低かった項目は、「家族が話ができるように誰かがそばにいた」、「職員は死に関する儀式や作法についてたずねてくれた」であった。FPCSの25項目を合計した平均値は175点中142.9±24.0点で、43項目の遺族評価スケールの全体的満足度との相関係数はr=0.568で、相関が確認された。 一方FPCSは、全体的な満足度をのぞいた24項目中13項目で天井効果が確認され、それらを除外した11項目で探索的因子分析を行った。その結果、「入所者と家族に対するケア」と「葬儀に関する事項」の2因子となり、FPCSオリジナルとは異なった結果となった。したがって、カナダで開発されたFPCSに手を加えることなく日本に導入するのは難しいことが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度は作成した43項目の遺族評価スケールを分析し、質問項目を見直したのち、再度質問紙調査を実施する予定であった。 しかし、遺族評価スケールの43項目のうち20項目に天井効果がみられた。Family Perception on Care Scaleの分析結果とあわせて、遺族評価スケールで天井効果がみられた20の質問項目の取捨について、介護老人福祉施設で看取りケアを実施している専門家の意見を聞き、質問項目の精査をするために予想以上に時間を要した。その結果、計画通りに実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
質問項目を精査した遺族評価スケールを作成して再度質問紙調査を実施する。遺族にとって負担なく、職員にとって活用できる評価スケールとなっているかを確認する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
質問項目の精査に予想より時間を要し平成27年度に予定していた調査報告書の送付と調査が実施できず、平成28年度に実施することにしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
報告書の作成、送付と再度質問紙調査を実施する費用とする。
|