研究課題/領域番号 |
25463410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大田 明英 佐賀大学, 医学部, 教授 (40128129)
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研究分担者 |
赤木 京子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20423981)
大曲 純子 佐賀大学, 医学部, 助教 (30710272)
川久保 愛 佐賀大学, 医学部, 助教 (90710252)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会的支援 / 膠原病 / 生活の質 / 健康統制感 |
研究概要 |
膠原病患者において、広義の社会的支援(家族、友人、医療職者、地域・行政等)が疾患の状態や個人特性と関連しながら患者のQOLにどう影響するのかを明らかにすることによって、真のQOL向上に向けた効果的な支援のあり方を提案することを目的として、平成25年度はまず、代表的な膠原病である関節リウマチ(RA)および全身性エリテマトーデス(SLE)患者が受けている社会的支援の満足度、QOL、疾患活動性(RAではDAS28、SLEではSLEDAI)や個人特性(基本属性、健康統制感)について調査した。佐賀大学医学部附属病院膠原病・リウマチ外来に通うRA患者92名、SLE患者37名を対象に、質問紙調査によりQOL(SF-8)、健康統制感(multidimensional health locus of control:MHLC)、社会的支援の満足度(VAS)を調査・分析した結果、RA・SLE患者ともにQOLは国民平均値より低く、とくにRA患者では身体的QOLの低下が目立った。社会的支援の満足度はRAとSLE患者間に有意差は認めず、またRA患者ではQOLと社会的支援の満足度との相関は認めなかった。しかしながら、SLE患者では社会的支援における医師からのサポート満足度と身体的QOLとの間に有意な相関を認め、重回帰分析でも医師からのサポートはQOLの影響要因として残った。SLE患者では精神的QOLと行政からのサポートとの間にも有意な相関がみられたが、QOLとMHLCとの関連はみられなかった。一方、RA患者ではMHLCのうち健康の拠り所を他者に置く傾向にある患者では支援の満足度が高いことが示された。これらの結果はまだ調査途中の一部の結果ではあるが、我々が予想したように、QOL向上を目指した効果的なサポートは疾患や患者個人の特性によって違う可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、平成25年度から2年間で関節リウマチ患者100名、全身性エリテマトーデス患者50名を調査する予定であったが、両疾患ともそれに近い数の患者をすでに調査出来ている。ただ、まだ調査項目のうち社会的支援の詳細や患者個人特性の一部については分析できておらず、また他の膠原病(強皮症および筋炎)患者についてもまだ分析できるほどの患者は調査出来ていないことから(調査自体はあと1年余りで終了する予定)、平成25年度の研究としてはおおむね順調に進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
膠原病患者に対する効果的な支援は、疾患活動性や個人特性を踏まえて提供することが大事であるという仮説は証明されつつあり、今後分析患者数をさらに増やし、詳細な分析を行うことにより、2年後の研究終了までには「膠原病・リウマチ患者のQOL向上のための効果的な支援の在り方を提案する」ことが出来ると考えている。
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