研究課題
膠原病患者において、広義の社会的支援が疾患自身や個人特性と関連しながら患者のQOLにどう影響するのかを明らかにすることにより、真のQOL向上に向けた効果的な支援の在り方を提案することを目的とした研究である。今年度は対象患者を増やして、最終的に当初の計画を上回る調査例数を確保できた。大学病院専門外来を受診し、研究参加に同意が得られた関節リウマチ(117名)、全身性エリテマトーデス(81名)、強皮症(43名)、多発性筋炎/皮膚筋炎(40名)の計281名の患者を対象に、SF-8TM(身体的サマリー:PCS8、精神的サマリー:MCS8)、EuroQOL(EQ-5D)、ソーシャルサポート尺度短縮版、Lubben social network scale 短縮版(LSNS)、実際の社会支援の利用状況と支援の満足度(5段階評価)、自己効力感(GSES)、健康統制感尺度(MHLC)、疾患関連項目として疾患活動性(DAS28・SLEDAI・SSc重症度分類・CK/LDH等)、主観的な重症度評価(VAS)、痛み(VAS)、 ADL(mHAQ)、個人属性等について調査した。その結果、膠原病患者のQOLは国民標準値より低い値を示したが、疾患ごとの差は認めなかった。重回帰分析を行った結果、膠原病患者のQOLに有意に影響する要因は、QOLの測定スケール(SF-8のPCS・MCS、EQ-5D)により、また疾患によってかなり異なっていたが、ADL・痛み・自己効力感は比較的共通した要因であった。膠原病患者のQOL向上を目指した支援としては、疾患に伴う痛みを抑えてADLを向上させること、自己効力感を上げることが大事であり、このことを踏まえて、さらに疾患の種類や特性を考慮したきめ細かな支援を行うことが重要であると思われた。
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