研究課題/領域番号 |
25463412
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
柊中 智恵子 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (60274726)
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研究分担者 |
中込 さと子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10254484)
国府 浩子 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (70279355)
川崎 裕美 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (90280180)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝看護 / 遺伝性神経難病 |
研究実績の概要 |
平成26年10月4日に実施したFAP遺伝看護教育プログラムの評価について、記述回答について詳細に分析を行い、昨年度実施した量的回答の分析結果と併せて、遺伝性神経難病をケアする看護職の傾向について明確にし、FAP以外の遺伝性神経難病を含めた遺伝看護教育プログラム試行案を作成することを目的に本年度は取り組んだ。 その結果、看護師が困難としていたことは、「遺伝の問題は家系全体に及ぶため自分の関わりで問題が表面化し家系に波紋を及ぼすことの恐れ」「病態のわかりにくさや症状の複雑さとコントロール困難への無力感」「院内および院外での連携が不十分」といったことにあった。また、知的技能を問う形成テストの結果、事前課題では漠然とした内容の回答しかできていなかったのが、プログラム受講後は、具体的な内容を記載することができるようになっており、記述件数も増加していた。今回はケアマニュアルをみて回答してよいとしていたが、回答するために閲覧したページについては、研究者が見た方がよいと判断した箇所を適切に閲覧していることがわかった。 知的技能を問う形成テストの具体的な結果として、「患者が亡くなった親と同じFAPだとわかって遺伝性疾患を受け継いだことが明確になった」場面では、「患者のFAPに対する思いを受け止める」が最も多く回答され、時間の経過によっても変化がなかった内容であった。受講後に記述数が増えていたものは「患者が親の病気をどのように受け止めてきたのか理解する」ことや「配偶者との関係性、配偶者や義父母へは病気をどのように伝えているか把握する」ことであった。 昨年度の量的回答の分析結果では遺伝看護を難しいと捉えていたが、質的回答の分析結果からは、ケア内容の深まったことが明確になった。 遺伝性神経難病全体についてもこの傾向が考えられるため、量・質の両方から解析することが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)ケアマニュアルとFAP遺伝看護教育プログラム作成までの経過および実施前後の評価の分析によって、遺伝性神経難病の中で、FAPについてはほぼ終了した。脊髄小脳変性症、副腎白質ジストロフィー、シャルコマリー・トゥース病、筋ジストロフィー、ハンチントン病について網羅するために、当事者面接を予定していたが、今年度は実施できなかった。しかし、今年度までのFAP研究によって、ある程度、遺伝性神経難病特有の結果を示すことができたため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
FAPケアマニュアルの中に、治療・ケア・福祉に関する意思決定支援のためのフォローチャートを作成した。看護師に対して大変有意義だったため、国際的に通用するかどうか、第15回 International Society of Amyloidosis Symposiumにて成果発表する。 FAP研究の結果、看護職は1日のプログラムを希望しているため、内容的には疾患は異なっても、考える視点が共通であるようなプログラムを作成する必要があることがわかった。そのため、脊髄小脳変性症、副腎白質ジストロフィー、シャルコマリー・トゥース病、筋ジストロフィー、ハンチントン病については、疾患理解の箇所に追加することまでを最終としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析を重点的に実施したため全体的に予算からの拠出を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
Development of a care manual for familial amyloid polyneuropathyについて、第15回 International Society of Amyloidosis Symposiumにて発表する(スウェーデン国際学会) FAP以外の遺伝性神経難病を含めた教育プログラム試案を作成する。
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