本研究の目的は、乳がん患者の配偶者自身の心理的安定を図るとともに、妻の乳がん治療における配偶者の役割を認識できるような看護介入を開発し、その有効性を評価することであった。 H25年度では、通常の看護を受けている乳がん患者の配偶者を対象に、感情状態と役割認識について調査し、乳がん患者の配偶者に対する看護プログラムを開発した。H26年度では、開発した看護プログラムを適用した乳がん患者の配偶者を対象に、感情状態と役割認識について調査をおこなった。H27年度では、通常の看護を受けている乳がん患者の配偶者と、開発した看護プログラムを適用した乳がん患者の配偶者の調査結果を比較し、開発した看護プログラムの効果と改善点について検討した。その結果、開発した看護プログラムを適用した群では、1か月後に感情状態の安定が認められた。また、配偶者はがんの脅威に捉われるだけでなく、乳がん患者である妻の努力を認め支えようとする視点が持つようになることが明らかとなった。この結果を看護学術集会で発表を行なった。 H28年度では、開発した看護プログラムの普及にむけた検討を行った。その結果、看護プログラムの指導資料の内容を、乳がん治療の進歩に合わせて、情報を更新する必要性と患者の心理面の理解を充実する必要性が検討された。指導資料の修正と共に、研究成果を公表するために論文作成すること、また研究成果を乳がん患者とその配偶者の看護に携わる看護職への普及を計画した。論文投稿については、論文推敲中であり公表に向けて継続して進めていく。今後、研究成果の普及、活用にむけて、研究協力施設において、看護師をを対象とした研究成果の報告会、および乳がん患者会や一般市民に対して講演等の機会を得て実施していく予定である。
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