研究課題
乳がん関連リンパ浮腫(BCRL)は、その管理においてセルフケアが重要であるが、現在の標準的セルフケア指導は複雑で時間と労力を要し、患者にとって実行が困難である。本研究では太極拳を用いた上肢エクササイズ、改変したラジオ体操、スキンケアおよび簡易リンパドレナージから構成される1日十分間のBCRLセルフケアプログラム(以下プログラム)を6か月間実施した効果検証を目的に実施した。なお、スキンケアは、当初アロマオイルを使用する予定であったが、前研究で皮膚反応が見られた患者がいたため、アトピー患者で効果が見られた保湿剤に変更した。研究方法は、パイロット無作為化対照試験でBCRL患者43名を介入群22名(プログラム実施)と対照群21名(標準ケア実施)に割り付け、ITT解析を行った。6か月後、両群とも1日のセルフケア時間は有意に増加した。対照群でも新たなセルフケア(スリーブ、エクササイズ、スキンケアなど)を開始した患者が21名中14名いた。L-DEX(健側患側間の細胞外液/細胞内液比)は両群有意差がなかった。介入群は、手および上肢の浮腫体積、相対的体積変化率(RVC)、皮膚組織抵抗値、患側前腕・上腕のTEWLが有意に減少した。QOLは改善した。対照群は、患側手の体積が有意に増加したが、前腕、上腕は有意に減少、浮腫体積は前腕で有意に減少、胸部皮膚組織抵抗値は減少、患側上腕TEWLは減少があった。RVCはどの部位でも減少がみられなかった。多くの対照群患者が調査開始後、自分たちがよいと考えるセルフケアを開始していた。プログラムとほぼ同等のセルフケアを実施した患者もおり、対照群でも有意な改善が見られた項目があった。しかし、ベースラインでの健側と患側の体積比率を元に変化率を見るRVCは介入群のみ有意に減少していた。本パイロット試験の結果から、BCRLセルフケアプログラムの有効性が示唆された。
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