研究課題
2013年度より、胃がん術後患者が退院後の生活に与える影響について調査を行ってきた。インタビュー調査の結果、消化器症状、食事内容、食事方法、ダンピング症候群、痩せによる虚弱、意欲や気力の低下、および職場復帰に対して不安を抱えることが明らかとなった。また、文献検討の結果よりs-1補助化学療法による体調の変化が生活に大きく影響を与えることが分かり、2018年度は、退院後の生活において胃がん術後患者が抱える問題に対する医療従事者の認識調査を行った。対象者は、胃がん術後患者を担当する消化器外科に所属する医師、胃がん術後患者と接する機会がある外来看護師、胃がん術後患者へ栄養指導を行っている管理栄養士の3職種であった。調査内容は、退院後の受診時に患者が消化器症状、食事内容、食事方法、ダンピング症候群、痩せによる虚弱、意欲や気力の低下、職場復帰、およびS-1補助化学療法に対する不安8項目を外来受診の際に訴えた場合の医療従事者としての治療や援助の必要性の有無、そして具体的治療および援助内容について調査を行った。59施設に所属する医師、看護師、管理栄養士、各177名を対象に自記式質問紙を用いて調査を行った。3職種ともに90%以上が胃がん患者がそれぞれの項目に対して不安を訴えた際には、治療および援助が必要と回答した。食事内容、食事方法、ダンピング症候群に対する必要な支援として、多くの医師および看護師が栄養士への相談を挙げていた。また、多くの看護師、栄養士が食事内容、食事方法、ダンピング症候群、痩せによる虚弱、意欲や気力の低下に対して、食事状況、生活状況、および心理面の把握が必要と回答していた。また、仕事復帰に対する訴えについては、医師および看護師は、ソーシャルワーカーへの相談の必要性を示していたが、栄養士についてはソーシャルワーカへの相談の必要性は示されなかった。
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