研究課題/領域番号 |
25463432
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (10244774)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺がん患者 / 周手術期看護 / 身体経験 / ケアプログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「手術を受けた肺がん患者の身体経験を手がかりとした看護介入モデル」を活用したケアプログラムを開発することである。今年度は、アクションリサーチの手法を用いて研究を進めていくために、研究協力病院で研究参加者への説明を行い、効果的に研究を進めるために体制を整えた。また、既に周術期センターとして活動をしている施設の見学を行い、看護ケアモデルとケア項目に関して専門家からのスーパーバイズを得た。 「手術を受けた肺がん患者の身体経験を手がかりとした看護介入モデル」に関する説明会を開催し、看護師が課題として感じていること、ケアプログラムに期待することを明らかにした。手術を受ける肺がん患者は入院期間が短く介入への困難さがあること、外来からの看護介入が必要であるがマンパワーが少なく限界があること、クリニカルパスに沿った援助はしているものの必ずしも患者の体験を理解した介入ではないことなどが課題として挙げられた。 しかし看護師は、外来-病棟-手術室とケアをつなぐようなかかわりをしていきたいと考えており、「手術を受ける肺がん患者の苦痛を緩和する」ことを目指して、短い入院中に退院後を見据えて集中的にかかわろうと方針を決めた。ケアプログラムの中には、『外来でのスクリーニング』に基づき、『情報提供による手術と手術後のイメージ化』そして入院後『患者の状況理解と意味づけの確認』『患者が価値をおいていることを知る』『症状を和らげ安心や安楽をもたらす』『危険を回避し回復を促進する』…といったケアの大項目を入れていくこと、そしてどの場面でも【患者の経験を理解し、患者にとっての意味を考えたケアを実施する】ことを重視することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、「手術を受けた肺がん患者の身体経験を手がかりとした看護介入モデル」を活用したケアプログラムを開発することである。本年度までに、研究目的を達成するために以下の目標を設定して研究を進めてきた。 目標1:看護師が経験している困難や課題の明確化 目標2:「手術を受けた肺がん患者の身体経験を手がかりとした看護介入モデル」を活用したケアプログラム原案の作成 目標3:ケアプログラム原案の臨床活用と評価
研究協力を依頼し、研究の体制を作るまでに時間を要したが、現在は2名の認定看護師、1名の専門看護師を含む研究協力者を得て、研究を進める体制が整備できたので、臨床活用に向けてケアプログラム原案の洗練化を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初多施設での実施を検討していたが、看護体制や状況が異なるため、まずは1施設で行い、その結果を他施設にも活用していくこととした。 また、患者にとって意味のある看護ケアを実施することは、看護師自身の「状況認識」によって左右されるため、「看護師の状況認識」を訓練する教育ツールの開発が必要となる。以上のことから、アクションリサーチの手法で研究協力者とともに研究を進めるとともに、教育ツール開発に向けての研修会参加とスーパーバイズを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が継続しているため、研究協力者への謝品が執行できていない。またグループインタビュー時の逐語録作成は研究者自身が実施したので、賃金の執行をしなかった。また、専門家からのスーパーバイズも無償で受けていただいたこともあり、謝金の執行をしなかった。まずは1施設を対象に実施することとしたため、当初の計画よりは会議回数が減ったことも影響している。
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次年度使用額の使用計画 |
看護ケアの実施は看護師の状況認識に左右される。そこで、看護師の状況認識を訓練する教育ツール開発およびケア項目として患者の術前教育ツール開発を検討している。よって、当初計画には挙げていなかったが、研修会参加費とその旅費として使用する予定である。 また、ケア項目として新たに追加する項目がないか確認するために、書籍の購入等の費用が必要となるため、物品費を増額して使用する予定である。
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