本研究の目的は、抗ウイルス治療難治性のC型慢性肝炎患者に対する看護相談モデルを開発することである。抗ウイルス治療を受けたC型慢性肝炎患者を対象に面接調査を行い、著効例および非著効例の治療効果の受容プロセスおよびレジリエンス(困難で脅威的な状況にも関わらずうまく適応する力)の構成要素を明らかにした。対象18名に面接調査を実施した。ウイルスの持続陰性化を得た著効例の治療効果の受け止めは、きつい副作用などの【苦悩】、治療完遂のための気持ちの切り替えなどの【折り合い】、治療結果に対する納得などの【安堵感】、今後はまだ分からないなどの【不確かさ】が見いだされた。ウイルス排除が得られなかった難治性C型慢性肝炎患者の治療効果の受け止めは、ウイルスが消えないショックや感染経路に対する苦悩などの【理不尽さ】、治りにくい病気と生涯付き合う覚悟などの【病気との折り合い】、そして【新たな治療への期待と不安】が見いだされた。また、ウイルス排除が得られなかった難治性C型慢性肝炎患者は、【ダメージの自覚】を基盤に【自己管理】に取り組み身体的適応を促進し【病いの引き受け】に至っていた。さらに【病いの引き受け】と【新薬への希望】が相まって心理的適応を促進していた。【楽観】と【支え支えられる】ことが【自己管理】や【病いの引き受け】に影響を及ぼすことが明らかとなった。2014~2016年認可の直接作用型抗ウイルス薬によりウイルス持続陰性化率が90~98%と向上し難治性の概念が変化したが、ウイルス排除成功例においても肝発癌は完全には抑制されず長期フォローアップが必要とされる。看護師は著効例の抱く不確かさを踏まえ継続受診支援を行う必要がある。抗ウイルス療法が現時点では困難な難治性C型慢性肝炎患者に対しては、理不尽な感情の表出を促し、病気との折り合いを促進する支援や、新な治療に対する情報提供が重要である。
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