研究課題
がん臨床試験について説明を受けた患者の理解度の評価尺度を開発するため、本調査を実施した。本調査で用いた調査票(仮称「がん臨床試験理解度評価尺度」)は、H26年度に実施した予備調査を経て妥当性を検討し修正されたものである。患者に対する本調査は、「がん臨床試験理解度評価尺度」の構成概念妥当性および内的整合性の確認を目的に実施した。必要な対象者は調査項目数から200名以上であり研究期間を延長した。平成28年度より実施施設が増え全4施設となったが、調査担当者を当初予定どおりに確保できず、もとより実施していた施設においても対象者の減少および調査担当者のエフォート確保困難の事情から調査の進捗は芳しくなかった。症例集積の遅延原因を検討した結果、インフォームドコンセントが2段階に分けて行わる最近の治験の現状が、本研究の患者選定基準に合わせにくいことが明らかとなった。そこで「説明から2週間以内」という条件はなくし、「プロトコル治療開始前であればいつでも可」と患者選定基準を変更した。しかしこの変更をもってしても得られた対象数は56名であり、本調査票の妥当性を確認できていない。今後も調査は継続し、本研究基金としての研究期間終了後であっても最終的に研究目的を達成できるよう対応する。看護学生に対する調査は、「がん臨床試験理解度評価尺度」の信頼性と内容的妥当性を検討する目的で実施した。対象者全員に介入(がん臨床試験についての講義)を行い、計3回の調査票への回答を求めた。21名より得られた回答から相関係数を算出し再テストによる信頼性を検討したところ、よい相関が確認された。3回の回答の総得点は介入によって向上することから、内容的妥当性も確認されている。今後評価尺度の構成領域毎にさらに解析を加え、「がん臨床試験理解度評価尺度」の信頼性と内容的妥当性を詳しく検討していく予定である。