慢性呼吸不全・COPD患者の意思決定支援についてプログラムを開発するため、アンケート調査を行った。属性は、年代、看護師経験年数、呼吸器病棟での勤務年数、職位、最終学歴、呼吸器疾患に関する専門資格の有無、病床数、看護実践能力を説明変数、看護に携わる看護師257名の慢性呼吸器疾患看護実践能力「各病気において起こりうる心理的、社会的およびスピリチュアルな問題を理解し、問題解決のための援助ができる」を従属変数とし分析した。また、呼吸器疾患患者の看護に携わる看護師の慢性呼吸器疾患看護実践能力に影響を及ぼす属性及び看護実践能力を独立変数として強制投入し、ロジステック回帰分析をおこない、オッズ比を算出した。さらに、変数増加法ステップワイズ(尤度比)を用い分析した。なお、分析ツールは統計解析ソフトSPSS Statistics 24versionを用いて分析を行い、両側検定で5%未満を統計的に有意とした。結果、属性では、看護師経験年数、呼吸器病棟での経験年数、呼吸器疾患に関する専門資格の有無、実践能力では対人関係・コミュニケーション、計画・評価、教育・協調、クリティカルケア、リーダーシップ、専門職発達のすべての能力で差がみられた。有意な独立変数は、対人関係・コミュニケーションがオッズ比1.219(CI1.099-1.352)、クリティカルケアがオッズ比1.137(CI1.052-1.227)であった。よって、プログラムにはすべての実践能力の強化が必要であるが、特に患者自身の決定や希望をケアに取り入れ、患者の精神的ニーズを満たすなどの高いコミュニケーション能力の開発や、急変時に適切な処置をおこなうことができるクリティカルな能力ばかりでなく死にゆく患者の精神的ニーズを把握し満たすことができるなどの能力が開発できるプログラムの作成が重要であることの示唆を得た。今後プログラムを開発する予定である。
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