研究課題/領域番号 |
25463448
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (80308288)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 緩和ケア / 非がん疾患 |
研究概要 |
1.目的:がん以外の疾患(慢性心不全、慢性呼吸不全)の緩和ケアする教育内容を明確化するために、看護師が体験している困難と学習ニーズを明らかにした。 2.研究方法:慢性心不全、慢性呼吸不全疾患患者のケア経験3年以上の看護師、緩和ケアチームナース10名に半構成的インタビューを実施した。質問内容は、1)治療期からエンドオブライフ期にかけて、関わりが難しかった事例の具体例、2)疾患の経過の中で、ケアを行う上で重要と認識されている時期と内容、3)「緩和ケア」のイメージ、がん以外の疾患の緩和ケアの認識、4)緩和ケアチームへのコンサルテーション、5)慢性心不全、慢性呼吸不全患者の緩和ケアにおいて、必要な知識や技術とした。インタビューデータはテーマごとに分類した。 3.結果:看護師が抱くジレンマ・困難体験は、1.増悪を繰り返し急変、死を迎え、予後予測・看取りの時期が絶えず揺れ動くという特性が関与する困難体験:1)回復と諦めの間で揺れる患者家族の気持ちを支える、2)患者の意思決定の尊重、3)看取りを視野に入れた関わり、4)オピオイド使用に対する患者・家族の抵抗感、5)症状緩和に対する看護師と医師の価値観のズレ、6)積極的治療、苦痛緩和、QOL尊重のバランス、7)緩和することが難しい症状、8)患者の症状体験の捉えにくさ、9)療養の場の選択と時期の見極め支援する、10)呼吸困難に対する薬剤以外のケア、11)積極的治療、高齢者ケア、緩和ケアのバランスという11要素。2.非がん疾患の緩和ケアが発展途上の社会文化制度的特性が関与する困難体験のは1)チームメンバー内での緩和ケアの認識や必要性の共有、2)エンドオブライフ期の患者と家族の意思決定の支援、3)症状緩和のために使用する薬剤のエビデンス・基準、薬剤投与の経験、4)積極的治療に対する信奉、5)緩和ケア=がん患者のケア=死という神話であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビューデータに基づき、平成26年度実施予定の調査の骨子が明らかになり、おおむね交付申請書に記載した研究計画どおりである。
|
今後の研究の推進方策 |
1.《平成26年4~6月》平成25年度に実施したインタビュー調査結果、およびがん緩和ケア実践に関する困難感尺度等を参考に、非がん疾患患者の緩和ケアに携わる看護師の学習ニーズ、実践困難感を測定する質問紙を作成する。ヨーロッパ緩和医療研究学会においても前年度の成果発表を行い、意見交換、情報収集を行う。 2.≪平成26年4~8月》関東地区のN系総合病院(19病院)に調査協力を依頼、各施設より研究倫理審査の承認を得る。心疾患、呼吸器疾患、腎疾患患者の看護経験のある3年目以上の看護師各200名、計約600名に実施予定。 3.《平成26年9~12月》データ入力・集計を行い、非がん疾患の緩和ケア実践において必要な看護教育内容(主要概念・援助方法論など)を検討する。 4.《平成27年1~3月》非がん疾患の緩和ケア実践において必要な看護教育内容案(主要概念・援助方法論など)を作成する。
|