目的:成人期の糖尿病女性が、自らの精神的ストレスを軽減し、ライフスタイルに応じた糖尿病の自己管理の方法を編み出すためには、双方向性のある援助システムの構築が必要と考えられる。そこで、成人期の女性糖尿病患者を対象として「交流会」の開催を計3回試みた。 交流会の各プログラムは、①ヨガ②メイクセラピー③お菓子作り④患者間の交流⑤医療者との情報交換 にて構成した。交流会の評価は、初回参加前に「基本属性」を、初回参加前と3回目終了後に「包括的健康関連QOL尺度SF-36日本語版(Ver2)」(以下SF36)、「POMS短縮版」および「糖尿病自己効力感尺度」の質問紙調査にて行った。また、各回参加後に交流会への自由意見を調査した。なお、交流会の主催メンバーは看護職者、栄養士、心理士、医師等であった。 結果:全3回の交流会に参加した症例は30歳代が3名、40歳代が2名であった。全員が1型糖尿病で、強化インスリン療法を行っている。病歴は3年から10年であった。合併症については、4名はなく、1名は、腎症4期、増殖糖尿病網膜症、末梢神経障害および自律神経障害を認めた。交流会へ参加した前後の血糖コントロールは、GAは3名が改善し、「SF-36」では3名の「精神機能」が向上し、「POMS短縮版」では4名「緊張感」や「不安感」も軽減した。また、意見を調査した結果、「ヨガやメイクセラピー」はリラックスや気分転換のきっかけになり、医療者や同病者との交流会での意見交換を通じて、情報や工夫を自分の生活に取り入れたり、同病者との交流を期待していたことが伺えた。 考察:ヨガとメイクセラピーは精神的ストレスの軽減に寄与したと考えられた。成人期の女性糖尿病患者を対象とした交流会の開催は、治療効果を高め、精神機能の向上には効果がある可能性があり、日常臨床においても交流会を活用する意義があると考えられた。
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