研究課題/領域番号 |
25463452
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永田 明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (30401764)
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研究分担者 |
寺口 佐與子 天理医療大学, 医療学部, 講師 (30434674)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生体肝移植レシピエント / 情報リテラシー / 生活者としての視点 |
研究実績の概要 |
生体肝移植レシピエントの情報への向き合い方を明らかにするために、生体移植レシピエントとの深い対話をもとに、その人々の体験を明らかにするという目的で、調査を行った。 生体肝移植レシピエント10名にインタビューを行い、質的記述的方法で分析を行った。研究参加者となった生体肝移植レシピエントは移植後3ー15年が経過していた。分析の結果から、3つの主なテーマで示される生体肝移植レシピエントの情報への向き合い方が明らかになった。 「1.移植の情報を取りたいと思っても手に入らない」という体験では、移植の必要性を石から説召され,自ら情報を集めようとしたが書店,インターネット上では有益な情報が得られずにいた。そのため,肝臓がんなどの類似した疾患に関する情報を取ることを行っていた。「2.病院で教えられたことはわかるが,細かい生活の中での疑問が解決できない」という体験では、退院前に医師や看護師,移植コーディネーターより,生活指導を受け,指導内容の概要は理解できていたが,日常生活の中で遭遇する細かい場面に対応できずにいた。それらの疑問は,インターネットや書籍からは情報を得ることができずにいた。しかし,コーディネーターへの遠慮もあり,なかなか勇気がいるということも述べていた。「3.今後の不安を解決するような情報の不足」という体験では,研究参加者の中には,移植後10年以上が経過したものもおり,生体肝移植を受けたレシピエントの長期予後に関する情報は圧倒的に少なく,自らの将来に対して不確かさを抱いており不安を感じるものが多かった。 以上のような結果から,これまでの生体肝移植に関する情報は,医療者が必要であると考える情報を一方的に発信していたことが多く,その情報の内容は日常生活の世界の中で生きているレシピエントのニーズとは一致しないものもあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度,研究代表者,研究分担者共に,所属施設を異動したため,新しい所属施設での業務により研究の遂行が困難であった。また,研究参加者のリクルートの際に協力をお願いしていた,患者会の会長の体調回復を待ったために,インタビューの実施時期が遅れた。この2年の要因で大幅に研究計画の実行が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
【研究実績の概要】で報告した内容を,今年度の第36回日本看護科学学会学術集会において発表し,直ちに論文として投稿する予定である。 また,今回の結果を基に,生体肝移植レシピエント,ドナー,そして,その家族が求める情報を明らかにして,効果的な情報提供の方法の案を構築していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,研究代表者,研究分担者共に,所属施設を異動したため,新しい所属施設での業務により研究の遂行が困難であった。また,研究参加者のリクルートの際に協力をお願いしていた,患者会の会長の体調回復を待ったために,インタビューの実施時期が遅れた。この2年の要因で大幅に研究計画の実行が遅延した。
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次年度使用額の使用計画 |
【研究実績の概要】で報告した内容を,今年度の第36回日本看護科学学会学術集会において発表のための,旅費/学会参加費として使用する。 また,今回の結果を基に,生体肝移植レシピエント,ドナー,そして,その家族が求める情報を明らかにして,効果的な情報提供の方法の案を構築していく研究を行うための,旅費として使用する計画である。
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