研究実績の概要 |
近年、精神神経免疫学の発達に伴って、種々のストレスが加わるとヒトでは従来の視床下部・下垂体・副腎系(HPA-axis)のみならず免疫系とのクロストーク(神経・内分泌・免疫系)を通じてホメオスタシスを維持するように働くが、このバランスが崩れると様々な症状や病態を引き起こすことがわかってきた。我々は、これまで慢性疾患の中でも膠原病患者を対象に研究を行っており、特に強皮症(SSc)患者(Matsuura E, 2011)や関節リウマチ(RA)患者においては、神経・内分泌・免疫系が過剰の活性化され、HPA-Axisの機能障害を起こしている可能性を報告した。 今回は、膠原病患者において、ストレスマネジメントプログラムを含む慢性疾患セルフマネジメントプログラム(Chronic Disease Self-Management Program; CDSMP)の介入により、ストレス適応系としての神経・内分泌・免疫系の機能異常(歪み)が是正される効果メカニズムについて免疫・生理学的および看護学的研究手法(質的研究)を用いて明らかにすることを目的とした。その結果、患者の自覚ストレス度やストレス対処能力は健常群とほぼ同程度であったが、膠原病患者では疾患により若干の差はあるもののHPA-axisの歪みが認められた。また、介入により病気に対する認識が変化し、病気とうまく付き合うことができるようになっており、この認知の変容によって交感神経が抑えれれる可能性が示唆された。
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