研究課題/領域番号 |
25463465
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小笹 由香 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 副看護師長 (40310403)
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研究分担者 |
藍 真澄 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 教授 (00376732) [辞退]
吉田 雅幸 東京医科歯科大学, 生命倫理研究センター, 教授 (80282771)
江川 真希子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00644212)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝看護 / 出生前診断 / NIPT / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
新型出生前診断(NIPT)は、胎児が21,18,13トリソミーである可能性について、母体からの採血のみで妊娠早期に判明するため、侵襲が少ないことが有益であるとされる。これまでの母体からの採血のみの検査として、同様である母体血清マーカー検査に比べ、35歳以上の高齢妊婦に関しては、陰性的中率が99%であることから、不必要な羊水検査を減少させることがメリットと考えられている。また、本邦では臨床研究に参加する被験者と受検し、陽性であった場合には羊水検査を受検することが条件となっている。本研究と同時進行でNIPTを実施する施設が増加し、またマスコミなどによる社会への情報提供が加速し、各施設の周産期担当者が対応することが急務となったため、NIPT実施施設以外の助産師に関しての教育を優先させる必要が生じた。また、これらに伴い教育現場でもこうしたケアについて、教育する必要性が出てきた。しかし、現場から離れており、自身の臨床経験では対応したことのない教員が多く、基本的な知識と、それらの理論づけが必要な現状が浮かび上がった。そこで今年度は、看護協会における管理者向けのセミナーや、教員などを対象とした教育セミナー、高度実践家を対象とした事例検討などの機会を、関連学会と協働し、開催した。また、社会的な要請から、ダウン症のある方々など障がいをもつ人々の暮らしや心情について、現状と今後の課題を明らかにする必要が生じた。これらについては、ダウン症のある当事者へのアンケート調査を含め、厚生労働省研究班に参画し、得られた知見を教育内容に盛り込むことで、さらに内容を充実させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標では、平成27年度に自施設の診療科としてNIPTを導入する予定であったが、日本産婦人科学会、日本医学会の申請、許可に時間がかかり、検査そのものの導入が平成28年度にずれ込んだ。したがって、具体的な実施に伴う助産師のケアや妊婦や家族のニーズが把握できなかったため、本年度は研修やセミナーなどを通して、他施設での経験値や実施状況を参照にとどまることとなった。 また、研究代表者の臨床部門への異動に伴い、これまでと同様の研究活動に関するハード面での設置整備に、時間を有した。しかし、これらにより、周産期の現場で助産実践を展開する助産師を直接教育できるたちなとなったため、今後は好転すると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となり、教育プログラム内容はほぼ確定しているため、国内外の関連学会、関連職種などにヒアリングすることで調整を行い、教育プログラムを完成していくこととする。 また、すでにNIPTを導入している施設では、自施設以外の受検希望が多く、受験に際しても十分な情報提供によって、必ずしも受検を希望するとは限らないことも示唆されている。したがって、NIPTをはじめとした、出生前診断に関するケアとして、狭義の内容から、子どもを産み育てることへのケアの一環として、という広義の助産ケアの内容としてまで、幅広くかつ焦点化していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究内容の重要なポイントであるNIPTについて、自施設での導入が遅れたこと、またこれまでの知見やすでに実施している施設との比較検討を実施し、より完成度の高い教育プログラムを作成する必要があるため、研究機関を延長した。また、こうした教育プログラムをより実践的にするため、研究責任者自身の臨床への異動に伴い、これまでの研究環境を整備するのに、予想外の時間を有したため。
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次年度使用額の使用計画 |
関連学会や有識者、高度実践家との情報交換を実施し、特に助産師が出生前診断のケアにおいてもイニシアチブを有する英国での国際遺伝看護学会に参加し、より完成度の高く、普遍性のあるプログラムへと改良するための知見を得ることとする。
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