前年度までの研究結果から作成した助産外来用ルーブリック(案)をもとに、助産外来を担当している助産師8名を対象に、2グループに分け、フォーカスグループインタビューを実施した。グループは、類似した経験を持つ助産師に分け、グループは助産師経験5年と助産師経験11~15年である。その結果、助産師の成長には継続的に妊婦を受け持つこと、熟練した技能をもつ先輩の存在、自分自身の行為の意味づけが必要であることが明らかになった。 助産外来用ルーブリック(案)試用後の助産師にリフレクションを実施し、作成したルーブリック(案)の運用可能性を調査した。助産師は、妊婦の印象をアセスメントの手がかりとし、その手がかりをもとに思考を推し進めていることが明らかになり、リフレクションを実施するなかで、自分自身の成長と課題を確認しており、助産外来用ルーブリック(案)の運用可能性が確認できた。 助産外来担当助産師の関わりと出産準備状況を妊婦117名を対象に、亀田らが開発した出産準備尺度、安酸らが開発した専門職に備わっている雰囲気(PLC)を用いて調査した。助産外来で妊婦健康診査を受けている妊婦の結果を分析する上での参考として、産婦人科診療所で医師の診察を受けている妊婦71名にも調査した。その結果、助産師が妊婦に対して信頼を寄せることで、妊婦の出産準備が進むことが示唆された。 以上の結果から、助産外来での助産師の実践能力の課題が明らかになるとともに、助産師の成長には、行動目標のみではなく質的な評価としてのルーブリックの必要が確認できた。加えて評価を行うだけではなく、リフレクションを同時に行うことが有効であるが明らかになった。
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