本研究の結果、高齢褥婦54名、適応年齢褥婦(以下、適応褥婦)67名の121名が対象者であった。途中中断者は全て高齢褥婦であった。対象者の平均年齢は、高齢褥婦37.3±2.1才(10名は40歳以上)、適応褥婦は27.4±3.8.才であった。結婚年齢平均は、高齢褥婦31.8±4.6才、適応褥婦25.9±3.3才であり、高齢褥婦の方が結婚年齢は高く(p<0.01)、有職者も多かった(p<.01)。出産後の育児サポート者の有無は、「サポート有り」118名、「サポート無し」3名 と回答しており、大半にサポート者が存在していた。 産後EPDS得点の平均は、高齢褥婦の経時的変化において有意差を認め(p<0.01)、特に産褥3日と14日において、14日の方が「産後うつ」得点が高い事(p<0.01)が示唆された。 総睡眠時間平均は、高齢褥婦は産褥1日5.4±2.1時間、3日5.7±1.9時間、5日5.7±2.1、14日5.6±2.0時間、および産後1か月5.6±2.1時間であり、経時的変化は認めず、常に短い事が判明した。一方、適応褥婦は、産褥1日7.5±1.8時間、3日7.9±1.5時間、5日7.6±2.0時間、14日8.1±1.7時間、および産後1か月8.0±1.1時間であり、高齢褥婦と同様に経時的変化は認めなかった。各時期の総睡眠時間を高齢褥婦と適応年齢褥婦間で比較した結果、全ての時期に差を認め(それぞれp<0.01)、適応年齢褥婦の方が、多くの睡眠を確保している事が示唆された。1日のうち最も長く眠った時間を表す主睡眠時間も両群に経時的変化を認めなかったが、両群を各時期で比較すると全ての時期に有意差を認め(それぞれp<0.01)、高齢褥婦の主睡眠時間が、約1時間短い事が示唆された。なお、両群において主睡眠時間を確保していた時間帯は、0時から6時までの夜間帯に全員が該当した。 したがって、高齢褥婦は総睡眠時間も分割される睡眠における確保も厳しい状況であると事が判明し、この原因究明が必要であると言える。
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