研究実績の概要 |
本研究の目的は,1産褥期の乳腺構造から,母乳育児継続が困難と予測される事例を早期に把握するための構造指標を得ること,2超音波を用いて乳腺構造を見るという行為の母親に及ぼす影響を明らかにすることで,母乳育児に関連した育児困難感の軽減につながるケア基準を提示することである。目的1では、母乳外来時に乳房内の表皮近くに乳腺組織が浅くみられる事例では、母乳育児継続が困難な傾向を認めている。また、乳腺が物理的に圧迫されていることによる母乳育児困難事例が、超音波を用いる事により判断できた。目的2では、乳腺超音波実施群と非実施群で、現在の所、産後1か月での母乳育児率には違いを認めておらず、また、母乳外来時混合育児の者が、産後1か月で母乳育児となる割合にも違いを認めていない。しかし、母親の乳腺画像への関心は高く,自分の乳腺が見えたこと、母乳がつくられていることが確認できたことにより母乳不足感の軽減や安心感、母乳育児満足感に繋がっていた。また、妊娠中から乳腺がみられると良いという希望が多数聞かれている。現在の所、明らかに母乳育児が困難であると判断できる指標が定まっていないため、『乳腺画像を見ることができて満足』という反応であるが、乳腺組織が浅くみられる事例の追跡調査(3か月時点)により指標を得たい。
|