本研究では,助産師の行う母乳外来において,助産師が超音波診断装置を用いて乳腺を描写し,乳腺の状態(乳腺の広がりや乳汁の残り具合,乳腺トラブルなど)を対象者(褥婦)とともに把握することで,母乳育児への安心感と負担感の軽減に寄与することを目的として取り組んだ。 超音波診断装置を用いた産褥期の乳腺画像では,乳房内の表皮から大胸筋まで乳腺組織が深く均一にみられる事例では母乳分泌がよく,反対に乳房内の表皮近くに乳腺組織が浅くみられる事例では,母乳分泌が不足する傾向を認めた。しかし,乳腺組織が薄くても母乳育児が継続できている事例もあり,乳腺画像の基準を設定することは困難であった。 超音波を用いて乳腺画像を見るという行為は,母親が母乳の蓄積状況(残乳)や乳腺の広がりが確認でき,母乳育児に対する安心感や自信という語りや,“ミルクを足すことは悪いことでないというケアが欲しかった”という母乳育児がうまくいかないことへの罪悪・負担感が軽減したという語りに繋がっていた。 以上のことから,助産師の知と技による母乳外来に超音波画像を適宜用いる事で,母乳育児継続への支援並びに母乳育児負担感の軽減に貢献することが期待できる。
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