研究課題
本研究は一次遺伝相談の充実のために,島嶼部過疎地の看護職者のための遺伝教育プログラムを開発すること,教育の継続をはかるために看護職者間のネットワーク確立を目指すものとする.平成28年度は前年度の島嶼部看護職の遺伝看護教育ニーズ調査の分析をふまえ,計画3「プログラムの開発と実施」と計画4「プログラムの評価」を実施した.計画3のプログラム開発では,前年度のニーズ調査で看護職者が遺伝相談で生じる困難の原因として明らかになった「知識・情報,社会資源の少なさ」「経験不足」「相談先がない」に対応する内容とした.また,計画1,2で明らかとなった島嶼部の「人が流れない」社会であるが故に生じやすい遺伝,遺伝相談への抵抗感を看護職者から軽減し,身近な問題として受け止めることができるよう,最近の遺伝医療のトピックも内容に含んだ.プログラムは1.身近なことから遺伝を考える,2.遺伝の基礎「遺伝子とDNAと染色体」,3.遺伝に関わる問題の難しさ(事例から),4.最近の遺伝医療のトピックス「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」を2時間で構成した.プログラムは県内看護協会の島嶼部支部長の協力が得られた地域で研修会として実施した.研修会の参加者は11名で,看護師,助産師,保健師であった.計画4は研修会終了後に参加者にアンケート調査を実施した.プログラム内容は全員が「非常に良かった」「良かった」であった.プログラム内容の今後の活用に,「患者への対応」や「相談を受けた時の相談先」があがったが,半数は「わからない」と答えていた.また,遺伝医療で話題の一つとしてあがるHBOCについて聞いたことがある者は25%であり,島嶼部に遺伝医療の診療体制がないこと,遺伝に関する情報源が少ないことも原因の一つと思われた.今回の研修会はネットワークを確立の第一歩ととらえ,今後も継続した教育の機会を提案していく.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
遺伝看護学会誌
巻: 15(2) ページ: 68-76
巻: 15(2) ページ: 77-86
保健学研究
巻: 29 ページ: 43-49
日本遺伝看護学会誌
巻: 15(1) ページ: 81-99
長崎医学会雑誌
巻: 91 ページ: 227-229
巻: 91 ページ: 230-233