研究課題/領域番号 |
25463486
|
研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
橋本 美幸 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (70513183)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 子育て支援 / 訪問者育成 / 家庭訪問 / 祖母 / マニュアル / 訪問員支援 |
研究実績の概要 |
母親とその実母・義母(以下、祖母)間で円滑な子育て支援の授受が、行われるための支援の示唆を得ることを目的としたインタビュー調査の分析を行った。祖母が行った支援と母親が受けた支援に対する認識の相違は、実質支援、情緒支援では無かったが、情報支援では異なっていた。母親は祖母の情報支援を子育ての“コツ”として、よい情報支援として受け止めていた。しかしながら、祖母は自分の子育てを昔の経験と考え、母親に押し付けないように気遣いをしていた。この点で、両者での認識の違いが認められた。 祖母支援の特徴として、「ずっと一緒にいてくれる」支援、「母親の時間を作ってくれる」支援、「母親や子どもを大事に思っていることを感じさせてくれる」支援などが挙げられた。これらは、専門職には難しい支援であり、祖母による母親への支援の有用性が示された。 子育て支援の授受の際に生じる母親と祖母のストレス要因については、以下ものが挙げられた。母親がよかったと感じていた支援の仕方は【実地練習型】、【伝授型】、【解決型】、【尊重型】、母親が嫌だったと感じていた支援の仕方は、強い口調、意見の押し付け、決めつけたことを言うなどの【押し付け型】支援であった。母親は支援内容よりも祖母の支援の仕方でストレスを感じていたと考えられた。祖母では、母親が自分を頼り、いつまでも自立しないことや母親の子どもとの向き合い方に疑問を感じていた。これらを両者のストレス要因の一つとして明らかにできた。 以上の結果から①祖母が行う子育て支援の特徴とその有用性、②祖母の情報支援の有用性、③母親への支援の仕方、等の説明が、専門職が行える母親と祖母への具体的な情報支援として考えられた。 母親の子育て支援ネットワークを構築していくうえで、家族を取り込むことの必要性が明確化でき、訪問員には母親とその家族を含めた支援を行う能力が求められることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成度の詳細は、調査Ⅰは終了している。調査Ⅱは遅れている。調査Ⅲについては、予備調査を行い結果の発表準備中であり、予定よりやや進んでいる。これらを総合的に評価するとやや遅れている。 この理由は、2014年度に大学を移動し、研究環境が大きく変化したこと、新しい大学においてカリキュラム変更に伴う業務と教育業務が前の大学と比べ、大幅に増えたことから研究のための時間を確保することが難しかったためである。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度は、調査に協力してくれる団体があったことから調査Ⅲの予備調査(訪問者のスーパービジョンの効果)を先に実施した。今年度は、調査Ⅱの家庭訪問の効果評価の結果の統合・分析を進めていく予定である。分析が終了している調査Ⅰの結果と合わせて、家庭訪問のマニュアル作成に向けた情報整理を研究計画通りに進めていく予定である。 研究を遂行する上での問題点は、今年度も学内業務と教育業務が多く、研究を遂行するための十分な時間を捻出できない可能がある。これについては、データを整理するための業者や研究を補助してくれる人の雇用を検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究環境が変わり研究を積極的に進めることができなかったこと、調査Ⅰの分析と調査Ⅲの予備調査の研究協力者との打ち合わせの主な手段がメールと電話となり、計上していた会議費、交通費を使用しなかったことが挙げられる。また、調査Ⅲの調査協力者への謝礼が必要なかったこと、以上が、次年度使用額が生じた主な理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、調査データの入力や整理については業者を利用したり、研究を進めるために積極的に人を雇用すること考えており、そのための人件費に助成金を使用していく予定である。前科研費で購入した携帯用のパーソナルコンピューターに不具合が見られるため、これを新たに購入する予定である。
|