研究課題/領域番号 |
25463486
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
橋本 美幸 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (70513183)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 訪問者育成 / 家庭訪問 / 祖母 / マニュアル / 支援者支援 / 産後ケア |
研究実績の概要 |
家庭訪問の質を確保するためには、職場における支援者への支援が不可欠である。そのための取り組みとしてスーパービジョン、職場内研修、ケースカンファレンスがある。調査Ⅲの予備的調査として、訪問者・支援者(以下、支援者)への職場におけるスーパービジョンやケースカンファンレスなどの支援の実態とその効果を明らかにするために調査を行った。対象は、保健師、ソーシャルワーカー、福祉関係者(以下、支援者)とし、支援の効果を支援者の二次的外傷ストレス(Secondary Traumatic Stress,以下、STS)とバーンアウト(Job Burnout、以下、JB)で測定した。 ケースカンファレンスが定期的にある人は54.1%、スーパーバイザーがいる人は48.0%であった。ケースカンファレンスの定期的開催とスーパーバイザーの有無で、STSとJBに差はなかった。スーパービジョンの管理的、教育的、情緒支援の3つの機能のうち教育と情緒支援でSTS、JBともに相関関係(r=0.16~0.29, p<0.05%)を認めた。ケースカンファレンスの方針決定、役割確認、対象の理解の機能のうちSTSでは方針決定と役割確認で(r=0.15, p<0.05%)、JBでは3つの機能で、それぞれ相関係数は低いが有意な相関を(r=0.15~0.26, p<0.05~0.01%)認めた。 これらの結果から、支援者のSTSやJBは、支援の回数ではなく、支援機能の高低と関係していると考えられた。スーパービジョンやケースカンファンレスが支援者支援に有用である可能性は示唆された。しかしながら、これらが実施されている職場は約半数であり、職場における支援者支援の体制が整えられていない実態を明らかにできた。 しかし、回収率が15.8%であったこと、対象者に看護職が少なかったことなどが,今回の研究の限界であり、支援者支援や家庭訪問の質確保のための検討を行うには、不十分である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
達成度の詳細は、調査Ⅰは終了している。調査Ⅱについては、分析の準備を進めているが遅れている。調査Ⅲについては、協力してくれる団体があったことから予備的調査(支援者育成支援の実態)を先に行った。昨年、これを終了し、分析・報告を行った。しかしながら、予定していたより看護職の対象者が少なかったこと、さらに回収率が低かったため、支援者への支援についての検討を行うには不十分な結果となった。そのため、もう1度調査を行う必要が生じ、これが調査Ⅲの遅れている理由である。 調査Ⅱが遅れている理由は、昨年危惧していた通り、カリキュラム改定の責任者を任されたため学内業務が多くなり、研究時間を捻出できなかったためである。もう1つの理由は、共同研究者がいなくなったことである。以上の理由から、研究が滞ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
調査Ⅱの分析を進める。調査Ⅲについては、当初の計画を変更して調査を行う。市区町村の家庭訪問事業担当者を対象に、家庭訪問者・支援者への支援に関する意識の実態調査を実施する予定であった。この調査の対象者を、家庭訪問や母子支援に従事している訪問者・支援者に変更して、調査を行う予定である。 研究を遂行する上での問題点は、3月に2名の教員が退職したことで人事の問題が残されており、今年度も学内業務と教育業務の負担が大きく、研究を遂行する十分な時間を捻出できない可能性がある。しかし、同じ大学内で共同研究者を得ることができたため、協力を得ながら研究を進めることができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、研究を予定通りに進められなかったことである。予定していたパーソナルコンピューターの購入、統計分析ソフトの更新など、研究に必要な物品の購入もしなかったこと、昨年度は、今年4月から施行した新カリキュラムの検討・作成の責任者となり、学内業務・教育業務が多忙であったこと、研究協力者の大学の移動に伴い、協力を得ることが難しくなったこと、などが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
同じ大学内の新しい研究協力者の協力を得て、分析や調査を準備・進めていくことが可能であると考えている。 研究に必要な統計ソフトやパーソナルコンピューターを早急に購入する。調査を予定しているため、この際の交通費、謝礼、データの整理・入力の際の業者利用、人件費など、調査にかかる費用が発生するため、これらに使用する。
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