研究課題/領域番号 |
25463490
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
坂梨 薫 関東学院大学, 看護学部, 教授 (60290045)
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研究分担者 |
勝川 由美 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (20438146)
水野 祥子 関東学院大学, 看護学部, 助教 (60728179)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カナダ / 子育て支援 / ファミリーリソースセンター / ノーバディスパーフェクト |
研究実績の概要 |
本邦では、子育て支援の活動や子育てに関連する事業への施策が展開されている。女性の社会進出が増え、ワークライフバランスが問われている現状の中、子育て支援の活動の拡充は重要である。また、出産の高齢化や少子化が急激に進む中で子育てに自信がもてず、悩む母親も多い。子育て支援に先駆的な取り組みを進めているカナダでは、ファミリーリソースセンターという子育て家庭支援システムがあり、具体的支援で重視しているのは、社会的に孤立した家族の子育てを支援することにあるという。その活動を視察し、運営システムや支援内容を知ることは今後の本邦の子育て支援活動の展開に役立つと考えた。今回の研究の目的は、カナダの子育て・家族支援活動の現状を視察し、本邦における子育て支援活動のあり方についての示唆を得ることである。 トロントとバンクーバーで5箇所のファミリーリソースセンターを視察した。カナダは寄付をする習慣があり、多くの施設は公的資金は半分くらいで他はスポンサーや地域の寄付で補われていた。また、カナダに子育て支援という言葉はなく、全ての家族に家族支援が開かれており、家族機能が健全であれば子どもも健康に育ち地域の活性化に繋がるとし、その一環として親子を支援するドロップイン広場がある。その中で親教育が行なわれ、カナダ連邦政府が発行しているテキストで行なわれるノーバディスパーフェクト(NP)は、親教育の代表的なプログラムである。NPは、親がグループの中で自ら学ぶプログラムであり、ファシリテーターの役割はグループの支えあいを生み出す力を後押しすることであった。 視察を終えて、移民が多く民族が入り乱れているカナダだからこそ、地域住民自らが相互支援を行ないながらシステムを作った経緯を学ぶことができた。また、本邦においてカナダの子育て支援プログラムであるノーバディスパーフェクトを普及させていくことの必要性を感じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の計画であった、カナダのファミリーリソースセンターの視察を行うことができた。また、同行者は子育て支援に関連する行政の課長、地域で活動する子育て支援NPOのメンバーであり、各々の立場から視察の意義を話し合うとともに本邦でどのような支援が必要か考察することができた。 昨年度に行なった調査については、学会発表を行い、論文2編を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
カナダの子育て支援プログラムであるノーバディスパーフェクトを定期的に開催し、参加した母親の評価を聞きながら、実践を伴った研究を行なっていく。また、一昨年実施した調査研究(既に論文で発表)の継続として、本邦における出産直後からの子育て支援である(行政から依頼された)産後ケア実施施設の管理者及び看護職者に、産後ケアを実際に行なってみてよかった点や課題・問題点についてフォーカスグループインタビューを行い、よりよい産後ケアのあり方について検討していく。また、乳幼児を持つ母親を対象に母親達が望む子育て支援についてフォーカスグループインタビューを行い、カナダでの視察やこれまでの調査から、本邦における出産直後から乳幼児期に至るまでの地域における子育て支援のあり方について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度カナダに同行する予定であったNPO子ども家庭リソースセンター所属の2名が、自身の病気と家族の介護で急遽参加ができない状況が生じた。そのため助成金に余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の計画であるフォーカスグループインタビューの対象者を増やし、いろいろな立場の人(産後ケア事業を行なっている助産院の経営者やスタッフ、乳幼児を持つ母親、祖父母世代など)育て支援のニーズと受入れやすい支援のあり方について聴取し、日本型のドロップインについて考察していく。
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