新卒助産師が入職時に求められる母乳育児支援能力を明確にし、助産師養成課程での教育(以下、助産師教育)における教育プログラムを開発することを目的に、助成期間は2調査を実施し、助産師教育で修得すべき母乳育児支援の基礎的能力と学習段階を生成した。 調査は、助産師教育における母乳育児支援教育の現状と課程修了時の能力修得度、及び臨床で新卒助産師の入職時に求められる母乳育児支援能力と継続教育の現状について、全国の助産師養成課程187課程、新卒指導助産師1076名を対象に質問紙を用いて実施した。母乳育児支援能力は「助産師教育のミニマム・リクワイアメンツ」等を参考に66項目を作成した。助産師教育については89課程の助産教員から回答を得た。基本的コミュニケーション技術、母乳育児メカニズムの説明、乳房観察技術の修得度が高く、直接授乳困難への対処等特別な配慮を要する支援の修得度が低かった。新卒者指導助産師からは517部を回収し、コミュニケーション能力、母乳育児に関する説明力、支援能力向上のための自己研鑽力、分娩直後からの母乳育児ケア展開力の順で高い自立度が求められていた。助産師養成課程の調査結果と類似した傾向にあったが、施設差もみられた。また、助産師教育における母乳育児支援教育の重視化や全養成機関共通で保証される基礎的知識・技術レベルの明確化、助産師教育と継続教育の連続性等が求められ、本研究の重要性が支持される結果であった。 以上の結果から、CUDBAS法により「大学院修士課程での助産師教育修了時に実践できる母乳育児支援」13教育項目とその段階的能力を生成、評価指標を明文化し、各養成機関が応用できるよう重要度3レベルを設定した。最終年度は、CUDBAS法専門家の意見に基づき、この内容と2調査の比較結果との整合性を検討し修正した。今後、助産師教育による活用効果の測定とブラッシュアップを図る予定である。
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