研究課題/領域番号 |
25463495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
門間 晶子 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (20224561)
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研究分担者 |
野村 直樹 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (80264745)
山本 真実 岐阜県立看護大学, 看護学部, 講師 (90710335)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 子育て支援 / 子育て困難 / 親 / 社会構成主義 / 説明モデル / 予防 |
研究概要 |
平成25年度は本研究の全体構想のうちの第1段階【子育て家庭への対話による情報収集】と第2段階【個人インタビュー・参与観察】の一部を同時に進行させた。 第1段階研究については、これまでの研究者の活動フィールドとともに新たに「主任児童委員主催による子育て支援の場」「子育て広場の委託を受けているNPO法人主催の子育て支援施設」等を訪ね、研究フィールドとしての可能性を検討し、打診した。その結果、平成25年度は乳幼児とその親が集まる場にて少人数の語り合いの場を設けてインタビュー調査を行い、子育てについての気持ち、悩み、子どもに手をあげたくなる場面等を小集団での話し合いの中から聴き取った。具体的には乳幼児の子どもを育てる親のグループに1回およびひとり親家族のグループに1回実施した。フィールドの開拓は引き続き進めている。 第2段階研究については、現に虐待していると悩んでいる親の経験を、2名の母親から継続して聴いている。また、障がいのある子どもを悩みながら子育てしている親の経験を幼児を育てる1名の母親から、さらに子どもの年齢がやや高いが、これまでの経緯を振り返りながらの経験を別の1名の母親から聴いている。 本研究では医療人類学者アーサー・クラインマンによる「説明モデル」(ある人が自分の経験に一貫性をもたせようとして語る、なぜこうなったのか、これからどうなりたいのかについてのその人独自の説明)を尊重している。その説明モデルを共につくりあげることが、研究参加者同士のグループダイナミクスや研究参加者と研究者との協働的な取り組みという研究プロセスの中で生じている。研究協力者である一人の母親とともに母子保健の専門家を対象とした研修会にて講話ができたのもその成果の一つと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階のグループでのインタビューについては、まだ2か所でしか行っていないため、26年度に相当進めないと本来の達成度に追いつかない。しかし、平成25年度にいくつかのフィールドを訪ね歩き調査を打診したことによって、今後調査を行うためのフィールドの可能性を掴むことができた。また、当初の予定のように、第1段階のグループ調査時に知り合った子育て中の親の中から、第2段階の個人インタビューの協力者を得ることができており、第2段階の個人インタビューでは、人数こそまだ少ないものの、継続的な深いインタビューが実施できつつある。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階のグループにおける調査を続け、その進度に応じて第2段階の個人インタビューも進行させる予定である。本来であれば第1段階のグループへの調査を十分に行ってからその課題を基に個人インタビューに移行していくという計画であるため、やはり第1段階のグループへの調査を十分に進めることが肝要である。そのためには、平成25年度同様にフィールド開拓を続ける。開拓しようとしているフィールドは、親たちが交流の場として集まっている場面が多く、そのような場で子育ての困難や子ども虐待を扱う調査を行うことに対する抵抗感が危惧され、慎重に進めたいと考えている。しかし、親たちの間には、子ども虐待を特殊なテーマとして捉えるというよりは、たとえ他人事と受け止めていたとしても、比較的身近な問題と捉えていることがわかってきたため、あまり臆することなく、親たちの困難や工夫の経験を尋ねていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度計画分の9割以上は使用したが、年度末に実施した交流会やインタビューの逐語録作成の業者委託が次年度となったために、一部が次年度使用額となった。本研究では当初、逐語録作成の大半を研究者自身で行う予定であったが、本業との関係からそれがかなり厳しい状況であり、次年度においても、音声データの逐語録作成を中心に助成金を使用する予定である。また、子育て中の親を対象とした研究では、託児の需要もあるため、それに対しても助成金が必要である。 逐語録作成委託料20万円、学会参加費・旅費10万円、研究協力謝金5万円
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