【目的】新人助産師研修を受講した新人助産師の臨床実践能力の修得状況の自己評価とOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)を用いての評価を行い、新人助産師の実践能力修得の特徴・課題を明確にすることである。【方法】日本看護協会の「新卒助産師研修ガイド」(2012)に掲載されている新卒助産師の到達目標「Ⅱマタニティケア能力」の「①妊娠期の診断とケア」(20項目)、「②分娩期の診断とケア」(17項目)、「③分娩各期における配慮の視点」(23項)、「④産褥期の診断とケア」(14項目)、「⑤新生児の診断とケア」(20項目)、「⑥CTG(分娩監視装置)の装着と判定」(14項目)の合計108項目の無記名自記式質問紙法を作成した。これらの各項目について、「到達度1:知識としてわかる」「到達度2:演習でできる」「到達度3:指導の下でできる」「到達度4:できる」の4段階により評価した。また、妊娠、分娩、産褥、新生児期の4場面に関するOSCEの1課題10分の課題を作成し、新人助産師にOSCEを実施し、その内容を録画した。録画内容を『ヒューマンケアの基本に関する実践能力』『根拠に基づき看護を計画的に実践する能力』『特定の健康課題に対応する実践能力』の視点に基づき、OSCE実施内容の映像分析を行った。【結果】新人助産師は妊娠、分娩、産褥、新生児の診断とケアについて概ねできると評価していた。録画内容の分析から、妊娠期の診断とケアでは、知識や情報提供の方法、配慮等では、経験が不十分なこともあり、自己評価とOSCE評価に相違がみられた。【考察】新人助産師研修には、助産師同士がお互いに妊産褥婦役、看護師役になるロールプレイを導入するなどのシミレーション教育やOSCEを取り入れた方法により実践能力を評価するプログラムの導入が必要である。
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