研究課題/領域番号 |
25463498
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
大脇 万起子 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00280008)
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研究分担者 |
鈴木 育子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20261703)
法橋 尚宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60251229)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発達障害 / 看護支援 / アプリケーション / 療育 |
研究実績の概要 |
本研究は、胎児・新生児期から関わる助産師、NICU など治療・療育に関わる看護師、乳・幼児期から関わる保健師が他領域の専門職者とも連携し、保護者が子どもの発達障害(発達を阻害する全ての障害を含む)の初期的認識・受容と速やかな療育開始できるためのアセスメントツールとそれを用いた看護方法を開発することを目的とする。具体的には、1. 保護者が子どもの障害の初期的認識・受容と療育開始を円滑にできるアセスメントツールを開発する、2. 作成したアセスメントツールを活用した看護を展開できるシステムを開発する、3. 1 および2 を補佐し、普及させるためのIT プログラムを開発する、である。
26年度は、25年度の調査結果、すなわち、「支援ファイル」の使用を母親達にすぐに促すには、その量(文字や枚数が多い)、形態(分厚く、大きく、明らかに健常児と別扱いされる印象を与える)の心理的負担など、現代の母親達(文字離れ、子育ての不安感や負担感が一昔前より大きい など)の様々な「支援ファイル」の受容と使用を困難にしている状況が推察でき、この使用にはその前段階のワンステップが必要という結論、を踏まえ、母親達が子どもの障害の初期的認識・受容と療育開始を円滑にできるよう、彼らが馴染んでいるスマートフォンで利用できる育児記録用アプリケーションMaminを試作し、協力を得られた関係機関の職員および保護者による試用を行うとともに、ダウンロード用バーコードも掲載した紹介のチラシを各種機関の協力を得て配布した。また、本研究者で運営する研究用HPにも同様の紹介頁を設け、全国発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的1(保護者が子どもの障害の初期的認識・受容と療育開始を円滑にできるアセスメントツールを開発する)については初期的達成ができた。 研究目的2(作成したアセスメントツールを活用した看護を展開できるシステムを開発する)については、研究協力を得られそうな候補機関の抽出にとどまっている。 研究目的3(1 および2 を補佐し、普及させるためのIT プログラムを開発する)については、上記のように研究目的1については達成できているが、研究目的2については未着手である。 研究の遅れの一因として、障害をもつ可能性のある子どもの母親が自分の子どもを健常児と別扱いされる心理的負担を回避することを重視し、開発したツールが一般的な子育て用でなく、早期発見・早期支援を目的としたものであることを保護者に明確にアピールできていなかった点があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は以下のことを推進する。 1. 保護者の心情に配慮しながらも、26年度よりも早期発見・早期支援を目的としたものであることを明確にアピールし、試用者を確保する。 2. NICUから退院した子どもをもつなどの特定の保護者に対して、開発ツールの試用前後の母親の心理的変化を、母親への聞き取り調査およびGHQ12などの検査により分析する。 3. 開発ツールの効果があった保護者およびなかった保護者両方の子どもの状況、母親の状況などの相違を検討する。 4. 障害が発見されたケースについては、支援実践を行い、評価を発達検査などにより行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
別欄で述べたように、特定の保護者に対するアプリ試用前後の変化の分析や看護支援の実践が予定よりやや遅れている。 そのため、その実践に使用する予定であった助成金が次年度への繰り越しになった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は上記の遅れている内容についての実施を推進する予定であり、そのために助成金を使用する。
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