研究課題/領域番号 |
25463502
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
岡崎 愉加 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50224001)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 思春期 / 性 / 子育て支援 / 保護者 / 他職種連携 |
研究実績の概要 |
支援プログラムの対象となる中学校の新入生の保護者に、無記名自記式質問紙調査を実施し、216名を分析した。中学・高校生になれば手をつなぐことや二人でデートすることを9割の親が容認していた。避妊をした性交は大学生や20歳からと考える親が多かったが、中学・高校生のキスを容認した親は6割を超えていた。親は避妊を意識するが、性感染症やリベンジポルノ等の危険には考えが及ばない可能性があり、妊娠以外の思春期の性の問題について知らせる必要があると考える。親に教えて欲しい内容は、「子どもへの教え方」84.7%、「学校で行っている性教育」75.9%、「何かあったときに相談できる所」72.2%であった。また、講演会の参加希望は52.3%、わからない43.1%、座談会の参加希望は21.8%、わからない58.8%であった。 次に、育てている子どもの性別による母親のニードの違いを明らかにした。対象は男子のみの母親43人、女子のみの母親49人である。知りたい内容は、「男子の体の変化」「男子の心の変化」「射精」「マスターベーションの意義」は男子の母親の方が多く、「女子の体の変化」「女子の心の変化」「性犯罪被害の現状」「摂食障害」「ダイエットの現状」「月経」「妊娠の仕組み」「経口避妊薬」「人工妊娠中絶」「妊娠適齢期や不妊症」「性感染症」は女子の母親の方が多く、有意差があった。 これらの成果をもとに、座談会の内容に「相談できる所の紹介」を入れ、男子と女子に分けて実施した。また、講演は高校1年生の夏休み前に実施している性教育の内容を紹介しながら、妊娠以外の性の問題について、親への知識の普及を図った。 参加者の評価は高いが、参加者数は少ない。今後は、参加についてわからないと答えている5割前後の親への対策が必要である。参加しやすい時間帯の検討、案内の徹底、仕事等で参加できない親へのパンフレットの活用を考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
支援プログラムの対象となる中学生の保護者の実態を明らかにすること、実施した座談会と講演会の評価をして支援策の改善を図ることについては、順調に進んでいる。しかし、専門家へのインタビューは日程調整が上手くいかず延期となっている。また、座談会や講演会の課題が明らかになるにつれて、思春期子育てパンフレットの内容についての再検討が必要となり、平成27年度中の作成に至らなかった。以上より、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度も研究協力校の養護教諭との連携により、新入生の保護者への調査を実施し、支援プログラムとして、座談会4回と講演会1回を計画している。思春期子育てパンフレットの作成は8月頃までに行うが、当初の計画より配布が遅れているため、評価の調査票を一緒に配布し、パンフレットの評価を保護者にしてもらう。専門家へのインタビューは、開発中の支援プログラムの評価と今後の発展のため、インタビューの目的と内容を再検討して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は専門家へのインタビューが実施できておらず、パンフレットの作成もできなかった。そのため、これらに関連した旅費や謝礼、逐語録作成費、パンフレット制作費、印刷費等を使用していないことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
専門家へのインタビューとパンフレットの作成は、平成28年度に実施予定であるため、これらに係る費用として使用する。また、平成28年度は質的研究1回、量的研究2回を予定しており、データ入力や逐語録作成等の外注に使用する。また、研究成果の国際会議での発表等もあるため、翻訳校正、旅費等に使用する予定である。
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