研究課題/領域番号 |
25463506
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 香代 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (80170736)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 妊婦 / 身体感覚活性化 / マザークラス / 妊婦教育 / わざ / 北京 |
研究概要 |
本研究の目的は、「身体感覚活性化マザークラス」のわざを検証し、女性の産み育てる力を高める教育プログラムを洗練・構築する。またこのプログラムを、実践をとおして医療者へ教育することで効果を検証し、妊婦教育プログラムの拡大をはかることである。 1年目となる本年度は、以下の2点を達成目標としてあげた。①身体感覚活性化メニューとそれに対する反応を抽出し、妊婦に与える影響を分析する。②身体感覚を高める「わざ」の開発を目的に北京中医薬大学の中医学医師および看護師との共同研究を行う。 ①においては分析途中であるが、本年度は妊婦の気功体験を分析し学会で報告した。気功は妊婦の身体感覚を強く刺激し、胎児との絆を深め自己を信頼する力へとつながっていた。 ②北京中医薬大学看護学部の教員及び学生に「妊婦の産み育てる力を育む妊婦教育-身体感覚活性化マザークラスの哲学と実践」を講演し、中国の妊婦の置かれた現状を把握すると共に「わざ」や妊婦教育のあり方についてディスカッションした。また日本と北京において、北京中医薬大学の教員より気功、経絡、マッサージの講義・演習を受けた。さらに中国における妊婦の食の調査を行い、その結果を学会で発表した。中国では一人っ子政策により生まれてくる児がすべて貴重児で妊婦は大切にされ、その結果大幅な体重増加や妊娠糖尿病、異常分娩の増加が問題となっている。全般的に運動が少なく間食も菓子など甘いものを摂っており、妊婦教育のあり方が課題としてあげられる。今後体重増加を抑制する教育(食事・運動)が行われるようになると考えられた。 ③さらに他県への妊婦教育プログラムの拡大を図るためその土壌作りを行った。「身体感覚活性化マザークラス医療者セミナー」で強い興味を示した佐賀県の医療センターを訪問し、看護管理者、産科医、助産師、栄養士に講演及び協議を行い、次年度共同でクラスを行う方向に進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は2つであった。 ①「身体感覚活性化メニューとそれに対する反応を抽出し、妊婦に与える影響を分析する」は、現在分析途中である。本年度は妊婦の気功体験を分析し学会で報告した。気功は妊婦の身体感覚を強く刺激し、胎児との絆を深め自己を信頼する力へとつながっていた。また妊婦の変容過程は5つの局面をたどっており、これは佐藤の先行研究と同様であった。しかし局面4〔始動〕において新たに【家族関係の変化】が抽出された。引き続き分析を行う予定である。 ②「身体感覚を高める「わざ」の開発を目的に北京中医薬大学の中医学医師および看護師との共同研究を行う」では、北京中医薬大学看護学部の教員及び学生に「妊婦の産み育てる力を育む妊婦教育-身体感覚活性化マザークラスの哲学と実践」を講演し、中国の妊婦の置かれた現状を把握すると共に「わざ」や妊婦教育のあり方についてディスカッションした。また日本と北京において、北京中医薬大学の教員より気功、経絡、マッサージの講義・演習を受けた。さらに中国における妊婦の食の調査を行い、その結果を学会で発表した。直面する問題として、大幅な体重増加や妊娠糖尿病、異常分娩の増加があり、妊婦教育の実践が課題として抽出された。今後体重増加を抑制する教育(食事・運動)が行われるようになると考えられるため、身体感覚活性化マザークラスの哲学を中国とさらに議論を深めていきたいと考えている。 ③新たな取組みとして、他県への妊婦教育プログラムの拡大を図るためその土壌作りを行った。この計画は平成26年度に行う予定であったが、「身体感覚活性化マザークラス医療者セミナー」で共同開催を呼びかけたあと、佐賀県の医療機関が強い興味を示したため前倒しで協議を行い、共同でクラスを行う方向に進行した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として1つは、「身体感覚活性化マザークラス」で使用するメニューの探究と洗練をさらに進める。そのために北京中医薬大学の中医学医師および看護師との共同研究を続行する。また身体感覚活性化メニューとそれに対する反応を、シェアリングの逐語録から抽出する。 さらに他県への妊婦教育プログラムの拡大を図るため、まずは「身体感覚活性化マザークラス」の佐賀県での共同開催をめざす。研修生と共に「身体感覚活性化マザークラス」の計画をたて、実践、その後の効果判定を行うとともに、福岡のマザークラスと比較しその評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
北京中医薬大学との研究打ち合わせおよび研修を予定していた教員1名が、家庭の都合で渡航が不可能となった。そのため1名分の渡航および滞在費(148,953円)の執行残が生じた。北京での研究は、事前打ち合わせをメールで周到に行っていたため、問題なく終了した。 平成26年度の助成金(1,040,000円)は予定通り図書・消耗品・旅費・人件費等に、平成25年度助成金の執行残(148,953円)は、新たな病院における研修のための旅費、施設の借用代や教材費等にあてることにしている。
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