研究課題/領域番号 |
25463507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
新城 正紀 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 教授 (50244314)
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研究分担者 |
井上 松代 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 講師 (30326508)
赤嶺 伊都子 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 講師 (60316221)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / DV被害女性 / 早期発見尺度 / 汎用性ある尺度 / 暴力 |
研究概要 |
本研究の目的は、ドメスティック・バイオレンス(以下、DVと略す)の現状把握および潜在しているDV被害女性を早期に発見し、迅速で効果的に対応するための「汎用性のあるDV被害女性早期発見尺度」を開発することを目的としている。 平成25年度は、1)国内外で用いられているドメスティック・バイオレンスに関連した尺度の文献レビューを行い、DV被害女性の早期発見項目を抽出し、2)質問紙調査依頼予定の市町村、保健所、企業、病院等を訪問してDV被害女性等の現状と対応について担当者等から情報収集を行い、質問紙調査の実施および協力等について意見交換を行い、3)汎用性のあるDV被害女性早期発見尺度開発のための質問紙の作成と質問紙調査を実施した。調査の実施にあたって代表研究者が所属する大学の倫理審査委員会の承認を得た。 調査対象者は、沖縄県に在住の18歳から59歳までの女性とした。調査の目的は、現在の健康状態と生活環境を把握し、女性の健康にとって安全で安心できる環境について検討し、課題を明らかにすることと、DVの現状把握および潜在しているDV被害女性を早期に発見し、迅速で効果的に対応するための「汎用性のあるDV被害女性早期発見尺度」を開発することを目的とした。 調査は、市町村、企業、病院、大学、看護学校等の協力を得て実施した。質問紙の内容は基本属性、現在の健康状態と生活環境、パートナー(配偶者または恋人などの親密な関係の方)の有無、子ども有無、パートナーのいる方を対象にパートナーとの関係についてであった。倫理的な配慮として、専用の封筒(料金受取人払い)を用い、郵便ポストに投函することができるようにした。 質問紙は、5,000部配布し、1,937部回収(1,915有効回答)された。入力作業はほぼ完了しており、平成26年度はデータの解析および尺度の開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、1)DV被害女性早期発見項目の抽出、2)質問紙および聞き取り調査票の作成、DV被害経験と健康影響調査等を実施し、研究実績の概要で述べたとおり、おおむね順調に進展している。 交付申請における計画では、妊産婦、乳幼児、1歳6カ月児・3歳児をもつ母親、病院入院・外来の患者を対象としたDV被害経験と健康影響に関する調査(質問紙調査、聞き取り調査)を実施する予定であったが、市町村、保健所、企業、病院等を訪問してDV被害女性等の現状と対応について担当者等から情報収集を行い、質問紙調査の実施および協力等について意見交換を行った結果、これらの対象者の調査の実施は極めて困難であることが確認できた。 そこで、研究の対象者は、沖縄県内在住の18歳から59歳の女性で、市町村(住民および職員)、企業(従業員)、病院(従事者)、大学(学生、教職員)、看護専門学校(学生、教職員)などとした。調査協力依頼を行ったこれらの機関は、本研究の目的と趣旨を理解し、積極的に協力した。 質問紙調査「女性の健康と安全に関する調査」のデータ入力作業は、交付申請の計画では平成26年度に実施予定であったが、ほぼ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に実施した質問紙調査「女性の健康と安全に関する調査」のデータを解析し、「汎用性のあるDV被害女性早期発見尺度」を作成する。解析には、探索的因子分析および確認的因子分析等を用いる。 また、「女性の健康と安全に関する調査」のデータにより、現在の健康状態と生活環境を把握し、女性の健康にとって安全で安心できる環境について検討し、課題を明らかにする。 研究を推進させるために、国内外の学会に参加して成果発表および情報収集を行う。 平成27年度は開発した尺度の信頼性、妥当性の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、採択1年目であり学会等で発表する研究成果はなく、研究の推進に必要な情報収集のために、分担研究者を含め国内の学会に参加予定であったが、汎用性のあるDV早期発見尺度開発のための質問紙の作成および調査の実施、データの入力等に多くの時間が費やされたことから、予定された学会への参加が出来なかったため、当該助成金が生じた。平成26年度は採択2年目になるので、研究代表者および分担研究者は国内外の学会等に参加して成果発表および情報収集を行うため、平成26年度助成金と合わせて使用する予定である。 2014年8月17-21日に、米国アンカレジ(アラスカ州)で開催されるIEA World Congress of Epidemiologyに参加予定である。本学会(2014年)のテーマの一つに「健康格差、人権と社会正義の倫理」があり、本研究を推進する上で有益な情報が得られるものと期待できる。 2015年3月19-21日に、米国 Wasington,DCで開催される7th National Conference on Health and Domestic Violenceに抄録を提出して参加する予定である。この学会は米国内で隔年に開催されており、第7回のテーマは"Health and Domestic Violence aims to advance the health care system's response to domestic violence" (健康とDVは、DVへの反応システムを促進することをねらっている)であり、看護職者や公衆衛生関係者にとって今日的で、意義深いテーマであり、本研究の推進にとっても重要な示唆を得ることが期待される。
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