研究課題/領域番号 |
25463509
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
茎津 智子 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (10177975)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子どもの死別 / 小中学校教員 / グリーフ / グリーフケア / グリーフサポート / 教員の認識 |
研究実績の概要 |
小中学校の教員を対象に子どもの死別に対する教員の関わりの実態及び死別で残される子どもに対する認識に関して調査を行った。無作為に抽出した道内公立小中学校(173校)の教員3731名を対象に自記式調査票を配布し郵送により回収。単純集計により結果を分析した。 その結果、460名から回答を得た(回収率12.3%)。対象の属性は小学校教員34.8%、中学校教員64.8%であった。教員の年齢は20~60代にわたり40代(32%)、50代(32%)、30代(25%)が多かった。死別経験のある子どもと関わった経験は76.7%が経験ありと回答し、子どもが死別した相手は父親(64.9%)、母親(51.3%)が多かった。子どもとその死について話す機会があったとした者は約50%で、話すきっかけは「子どもの様子や行動が気になり自分から声をかけた」(65.3%)とするものが多かった。一方、子どもとその死について話をする機会を持っていなかった者は約50%で、理由は子どもには「死はつらすぎると思ったので話す機会をもたなかった」(23.6%)というものが多かった。死別した子どもとの関わりでは、「子どもの気持ちを聴く時間を取りたい」(37.6%)、「子どもと話す時間をとって話をしたい」(8.5%)という一方で、「子どもにつらい思いをさせるので自分からはあえて話さない」(15.9%)、「話をしたいがどう話してよいかわからない」(9.3%)などの回答がみられた。以上より、小中学校教員は死別した子どもと接する機会があり、関わる必要性を感じているが、死別した子どもと関わった経験をもつ教員の約半数は関わりに消極的な現状が明らかになった。この背景には子どもと関わることへの躊躇や当惑があると推察される。学校における子どもの死別への支援を検討するためには、教員の子どもの死別に関する理解も含めて検討する必要があると示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小中学校教員対象の調査は終了し分析の概要まではほぼ終了した。今年度は結果の分析を小中学校別教員の子どものへの関わりや認識の実態、教員の認識とかかわりの関係など分析を多角的に進める予定である。また、調査の自由記述内容についてもテキストマイニング法により分析を進める。すでに学会発表などのエントリー、採択なども具体的に進み、研究結果の公表も順調に進んでいる。 小中学校教員対象とした子どもの死別、グリーフサポートに関する啓発活動などを合わせて実施する予定であり当初の計画に従い進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、分析を多角的に進めながら結果の発表に主眼を置きながら順次進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査実施までが終了し、当初、結果の一部でも学会等で発表予定であったが発表等を行わなかった等の理由による旅費などの使用が見込み額より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、3件以上の学会発表、論文作成や報告書作成などにより使用予定。
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