本研究は、早期産児に対する生活リズムの調整が、睡眠覚醒リズムの形成と成長発達を支えることにつながることを明らかにすることを目的としている。平成28年度は、早期産児の退院後に母親が日常生活リズムの調整を実施し、修正月齢4か月頃に睡眠覚醒状態と発達について調査した。研究方法は、子どもの睡眠覚醒リズムを測定するため、修正月齢4ヶ月頃に計測器機を約3日間装着し測定した。また、普段の子どもの眠りと機嫌等について母親から口頭で聞き取り、子どもの健やかな発育状態を調べるため発達スクリーニングを行った。 日常生活リズムの調整を受けた早期産児の修正月齢4か月のデータを解析し、概要として次のことが分かった。①実測した総睡眠時間は比較的少ない傾向にあるが、抱っこしながらの睡眠を加えると比較的保たれていると考えられる。②概日リズムの指標であるMesor(リズム平均)はやや大きく個人差があること、Amplitude(日内変動)は安定しているが、睡眠時間と覚醒時間の移動に伴い変動があること、Acrophase(頂点位相)は午後12時から16時に位置し安定している傾向にあった。③睡眠の性質は、夜間睡眠中にはある一定のリズム傾向があること、早朝睡眠は夜間睡眠と比較し体動が少なく質的相違を示す傾向にあった。これらから、早期産児の修正月齢4か月頃の睡眠覚醒リズムは、周囲の環境に合わせられるようになっていることを示唆するといえる。 今後、先に得られた正期産児との差異、および季節性等との関連について解析する予定である。
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